内容
インターネット等により誰もが容易に情報入手可能な現在,薬剤師もその中から必要な情報を見極め入手し,自信をもって発信・提供することが望まれる.本書は医薬品情報に関わる基礎的な要素を,さまざまな角度から分かりやすく解説した.薬学生や医薬関係者のテキストとして最適な書である.今版より,講義等で使用可能な演習問題を新設した.
主な内容
第1章 医薬品情報学を学ぶ意義
医薬品情報学とは/薬剤師に求められる職能と医薬品情報学/情報社会における医薬品情報/社会を支える医薬品情報
第2章 「医薬品情報学」総論
医薬品情報の種類と特徴/医薬品情報にかかわるさまざまな職種/医薬品情報に関係する主な法律・制度/医薬品の研究・開発の流れと医薬品情報/市販後に構築される医薬品情報/医薬品におけるレギュラトリーサイエンス
第3章 医薬品情報の収集・評価・加工・提供・管理
医薬品情報源の分類と特徴/医薬品情報の流れ/医薬品添付文書の法的位置づけと作成の目的/医薬品添付文書の記載項目/医薬品インタビューフォームの位置づけ/医薬品リスク管理計画(RMP)/など
第4章 EBMと医薬品情報
EBMの基本概念と実践/主な臨床研究法とエビデンスレベル/臨床研究論文の批判的吟味/メタアナリシスと医薬品情報/臨床での診療ガイドラインの位置づけとEBM
第5章 臨床研究の結果を理解するための生物統計の基本
臨床研究における統計解析と推定/臨床研究で用いられる基本的な用語と統計量/検定/臨床研究における仮説検定と過誤/さまざまな確率分布/パラメトリックなデータとノンパラメトリックなデータ/など
第6章 臨床研究デザインと解析
臨床研究の主な統計手法/臨床研究におけるバイアス・交絡/観察研究での主な疫学研究デザイン/副作用と医薬品の因果関係評価/優越性試験と非劣性試験/介入研究の計画上の技法/統計解析時の注意点/など
第7章 医薬品の比較・評価
医薬品の選択・採用/同種同効薬の有効性・安全性の比較・評価/先発医薬品と後発医薬品・バイオシミラーの比較・評価
第8章 薬物治療に必要な患者情報とその収集・評価・管理
薬物治療に必要な患者の基本情報/患者情報源の種類/処方監査・調剤に必要な医薬品情報/服薬指導・情報提供に必要な医薬品情報/薬学管理に必要な医薬品情報/など
第9章 個別化医療と医薬品情報
個人差を重視した薬物治療の計画・立案/遺伝的素因を考慮した薬物治療と医薬品情報/心臓疾患患者,腎機能低下者,肝機能低下者の薬物治療・投与設計と医薬品情報/など
第10章 「医薬品情報学」演習
EBMの実践/添付文書・インタビューフォームから情報を収集し,考察する/適切な情報源から医薬品情報を入手し,治療を適正化する/遺伝子的素因を考慮した薬物治療の実践/など