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もしニーチェがイッカクだったなら?~動物の知能から考えた人間の愚かさ~

ジャスティン グレッグ  著

的場 知之  翻訳
在庫状況 有り  お届け予定日 3~4日  数量 冊 
価格 \2,420(税込)         

発行年月 2023年06月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 282p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/人文科学/心理学/比較心理
ISBN 9784760155286
商品コード 1036321113
NDC分類 481.78
基本件名 動物心理学
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2023年07月5週
書評掲載誌 読売新聞 2023/07/30
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1036321113

著者紹介

ジャスティン グレッグ(著者):ドルフィン・コミュニケーション・プロジェクトの上席研究員であり、聖フランシス・ザビエル大学の非常勤講師として、動物の行動学と認知学について教える。バーモント州出身で、日本とバハマで野生のイルカのエコーロケーション能力を研究。現在はカナダのノバスコシア州の田舎町に住み、科学について執筆する傍ら、自宅近くに住むカラスの内面生活について考えている。
的場 知之(翻訳):東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科修士課程修了、同博士課程中退。訳書に、ロソス『生命の歴史は繰り返すのか?――進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』、ピルチャー『Life Changing――ヒトが生命進化を加速する』(以上、化学同人)、クォメン『生命の〈系統樹〉はからみあう――ゲノムに刻まれたまったく新しい進化史』、ウィリンガム『動物のペニスから学ぶ人生の教訓』(以上、作品社)、スタンフォード『新しいチンパンジー学――わたしたちはいま「隣人」をどこまで知っているのか?』(青土社)、王・蘇(編)『進化心理学を学びたいあなたへ――パイオニアからのメッセージ』(共監訳、東京大学出版会)、マカロー『親切の人類史――ヒトはいかにして利他の心を獲得したか』(みすず書房)など。

内容

 このところ動物とヒトがいかに同じような特性を持っているのかを明らかにする書籍が増えている。それには動物行動学など、さまざまな研究が進み、動物の考えていることや、動物の使うコミュニケーション方法が解明されてきたからなのだろう。
 そこから知性とは何か? これはヒトだけのものなのか、動物にもあるものなのかという疑問も湧いてくる。今話題のAIとの関連で、ヒトの知性の存亡があやふやになっている。知性というわかっているようで定義しづらい概念を元に、人間に知性(ニーチェは動物には知性が欠けているといった)があるなら、なぜ無駄な戦争を起こし、道徳を振り回しヒトの行動を縛り付け続けるのかを考えてみたのが本書だ。私たちは知性という曖昧な言葉を使うことで、ヒトと動物を隔ててきた。つまり論理的に動物とヒトを区別できないために曖昧な言葉により、明確な違いに答えることを避けてきたのではないだろうか。
 動物と人間の違いとは一体何なのだろうか。まずは動物にはそんなことはできないだろう、劣っているはずだというヒトの思い込みについて考えてみよう。たとえば株の短期売買で熟練の株売買人とネコを比べたら(ネコは銘柄一覧にネズミのおもちゃを落とす方法で挑戦)、資産を増やしたのはネコのほうだった。また、ハトにがん組織の写真を見せたらがんの発見率は放射線医よりも高かった。さらに、動物も見せかけの嘘はつくけれど、ヒトの嘘はもっと巧妙で、騙す相手を信じ込ませその行動をあやつる。なぜヒトはそこまで騙そうとするのだろうか。
 動物も「死」自体を意識できる。しかし、自分も死ぬ運命だとは思ってないかもしれない。だとしたら未来予測ができるヒトは死の意味をどのように考える方向に進化してきたのだろうか(類人猿と分化した際にヒトは死について認識した)。死を意識しすぎると、いまやるべきことに意欲がなくなる。これをどう克服してきたのだろうか。
 動物の集団には餌を食べる順序などのルールがある(不公平を認識できる)。集団化して生きるヒトの道徳は一体何のためにあるのだろう(ヒトは心の理論を元にした共同から始まり、集団としての規範を作り上げた。そこから生まれた善悪とはいったいなんなのだろう)。LGBTQはなかなか受け容れられないけれどヒツジの10%は雄同士でくっつくし、雌同士で卵を育てる鳥もいる(動物界には同性愛が多いが、だからといって繁殖数が減っているわけではない)。
 イヌやネコは飼い主に怒られると、恐怖心から目をそらす。これは意識がある証拠だ。ミツバチにも意識はある。課題を与えるとこなすことができる。ヒトは未来を予測できるくせに、実際にはそれを理解せず目をつむる。二酸化炭素の排出をとめなければ気候変動が起こることは誰でもわかっている。でもなぜ、それをすぐにとめようとしないのだろうか。
 長期的認識が大事なのにも関わらず、私たちの脳の古い部分は太古のまま衝動的行動を促している。もうそろそろヒトも動物の一部だという認識を深めてもいいだろう。でも道徳的にはそれを嫌がるのかもしれないけれど。

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