内容
◆第三句集
手袋が弥陀の片手のごと落ちて
秋山百合子さんは、なぜいつも新しいのだろう。
昔からそうだ。いまもそうだ。
(「家」代表 加藤かな文 )
◆自選十五句
春雷にコップの水の匂ひけり
あすも又目覚むるつもり花月夜
人間はゆつくり育つ葱坊主
かあさんと呼ばれてみたき暮春かな
空蝉の中はいかにと蟻に問ふ
椅子足して五人で座る夏夕べ
縞蛇の縞折れ曲がり折れ曲がり
油蝉からりと死んでゐたりけり
パーツごと干す扇風機荻の風
鶏頭をなでたる指のうつとりす
菊日和母の名にある菊の文字
先生へ白檀を焚く夜寒かな
寒紅を濃く引くほどのこともなし
その町にこどもの私冬すみれ
手袋が弥陀の片手のごと落ちて