内容
なりわいや生活の営みに関する文化遺産全般が対象となる、産業遺産。幕末・明治維新から昭和期にかけての工場施設や炭鉱跡等の建造物、画期的な製品や工作機械などは、ここ100年にわたる日本の経済発展に大きく貢献した。しかし、よほど有名なもの以外はその価値が理解されにくく、単なる古い産業設備として捨てられてしまうことも多かった。だが近年、改めてその価値を見直す機運が高まっている。
本書は、20年以上の調査で訪れた1万を超える産業遺産から選りすぐりの事例を紹介する。研究者ならではのたしかな視点から、その遺産のできた背景や価値、概説としての産業遺産保存と活用の歴史についてもとりまとめた。産業遺産探訪に役立つ一冊。