著者紹介
デイン・ケネディ(著者):(Dane Kennedy)
ジョージワシントン大学歴史学部名誉教授(Elmer Louis Kayser Professor of History)。主な単著に、The Imperial History Wars: Debating the British Empire (London: BloomsburyAcademic, 2018), The Last Blank Spaces: Exploring Africa and Australia (Cambridge, MA:Harvard University Press, 2013), Britain and Empire, 1880-1945 (London: Longman, 2002) などがある。
長田 紀之(翻訳):1980年、東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士号取得。現在、ジェトロ・アジア経済研究所研究員。専門は、ミャンマー史、東南アジア史。単著に『胎動する国境──英領ビルマの移民問題と都市統治』(山川出版社、2016年)、共著に『東南アジアの歴史』(放送大学教育振興会、2018年)、監訳書にA・リード『世界史のなかの東南アジア──歴史を変える交差路』(太田淳と監訳、名古屋大学出版会、2021年)などがある。
内容
脱植民地化は、18世紀末のアメリカ独立革命とハイチ独立に始まり新世界を席捲した第一波から、20世紀末のソ連解体によって引き起こされた第四波にいたるまで、複数回にわたって起きてきた。
本書は、第二次世界大戦後のアジア・アフリカ全域で生じた第三波を、こうした長期の歴史に位置づける。
また、世界各地の事例を比較検討することで、脱植民地化という現象の特徴を浮き彫りにし、今日にも繋がるさまざまな暴力の源をグローバルな視点から問い直している。
脱植民地化の概説書としての本書の最大の特徴は、そのコンパクトさに比して、カバーする範囲が時間的にも空間的にも著しく広い点にある。理論と実証の難しいバランスをとりながら、本書はいまある世界の始まりを見事に見定めている。
本書は、脱植民化をめぐり過去だけでなく未来へも視線を注ぐ。第三波後の二大帝国、ソ連とアメリカである。とりわけソ連の後継国家ロシアが帝国への執着を示し、さまざまな問題を生んでいることが指摘されている。従来のイギリス帝国史を超える壮大なスケールで描く、記念碑的著作。