著者紹介
坂口恭平(著者):1978年、熊本県生まれ。2001年、早稲田大学理工学部建築学科を卒業。作家、画家、音楽家、建築家など多彩な活動を行なう。
2004年に路上生活者の家を収めた写真集『0円ハウス』(リトルモア)を刊行。「いのっちの電話」として自身の携帯番号を公表し、2012年から現在に至るまで、年間およそ1万人を超える「死にたい人」たちの声を聞き続けている。2023年2月には熊本市現代美術館にて個展「坂口恭平日記」を開催。
『継続するコツ』(祥伝社)、『TOKYO 0円ハウス 0円生活』(河出書房新社)、『独立国家のつくりかた』(講談社)、『躁鬱大学』(新潮社)、『よみぐすり』(東京書籍)、『中学生のためのテストの段取り講座』(晶文社)など著書多数。画集に『Pastel』『Water』(左右社)がある。
内容
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ということで、今回は幸せとは何か、
という僕の主要な研究テーマについての研究書を書いてみたいと思います。
不幸せではない人生を送る、とかではなくて、幸せとは何か、です。
これはつまり、幸せな人を対象にしなくてはならないのですが、
幸せだと自認している人ってなかなかいないんですよね。
でも、僕は何人か知ってます。
(中略)で、今回もまた幸せ研究がはじまるわけですが、
今回の取材の対象は、なんと僕の妻なんです。
「幸福人フー」と、タイトルをつけましたが、
その「フー」という女性が僕の妻です。
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坂口恭平の「幸せ研究」、今回の主人公は妻の「フーさん」!
坂口さんのご著書やSNSに何度も登場しているフーさんは、
坂口さん曰く「自分は『しあわせ』だと自認している人=幸福人」でした。
そして、「生まれて初めて、自分の鬱を直接、目の前で見せた人」でした。
「不安はないの? 寂しくないの? 虚しくならないの?」
出会いから20年、フーさんをずっと定点観測してきた坂口さんが、
彼女の「しあわせ」の在り方をインタビューしながら探ります。
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「寂しいって感じない?」
「感じないかも……」
「不安は感じるでしょ!」
なんか僕もヤケクソみたいになってきてます。
「えーっとね、不安、ねえ、それは何か具体的な、こうなったらどうしよう、とかの不安?」
「いや、なんか漠然としてて、ぼんやりとしてて……」
「それは大変そうだね……。私、そんな不安は感じたことないのかも……」
「虚しい、はわかるでしょ!」
「えっと……ごめん、全然わからないかも……。虚しいってどんな感じ?」
「なんか気が遠くなるっていうか……、この先もずっとこんな苦しい状態が続くかと思ったら、
もう居ても立ってもいられないっていうか」
「あ、それは大丈夫だよ、ずっと続くことはないと思うよ。
だって、これまでもこういうふうになったことあるんでしょ?」
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●もくじ
第一回 幸福な人
第二回 フーちゃん語法
第三回 不安ゼロの人
第四回 思ってもないようなことを口にしない方法
第五回 フーちゃんの目、躁の僕と鬱の僕の和解
第六回 躁状態の僕に対する工夫、フーちゃんの挑戦
第七回 「今までの自分」を叱らない
第八回 平凡な穏やかさ
「幸福人フー」を読んで フーより