内容
平均的なレベルの物理学科の大学生にあわせた「統計力学」の教科書である。まず、統計力学の理論的基礎である小正準分布(ミクロカノニカル分布)が多くの例とともに詳細に解説される。その後、より実用的な正準分布(カノニカル分布)が小正準分布の理論に基づいて導入され、これを用いて「局在電子による常磁性」「格子振動による固体の比熱」「熱放射」など具体的な問題の熱力学的性質が調べられる。さらに、大正準分布(グランドカノニカル分布)が導入され、これを用いて「量子気体」である「電子系」「Bose凝縮転移」の性質が議論される。
本書では、常磁性、熱放射や結晶格子振動と自由電子の寄与による金属の比熱など、応用例がバランスよく含まれ、実用にも配慮されている。そして、読者の理解を深め、計算力を培うため、章末に演習問題およびその解答を入れている。