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書評掲載

神と黒蟹県

絲山 秋子  著

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価格 \1,980(税込)         

発行年月 2023年11月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 232p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/人文科学/文学/日本文学
ISBN 9784163917757
商品コード 1036989185
NDC分類 913.6
書評掲載誌 朝日新聞 2023/11/24、産経新聞 2023/11/26、日本経済新聞 2023/12/09、朝日新聞 2024/01/27
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1036989185

内容

「黒蟹とはまた、微妙ですね」
微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。
県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。
 つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。
この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。

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