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小山さんノート

小山さんノートワークショップ  編
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価格 \2,640(税込)         

発行年月 2023年10月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 286p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/人文科学/文学/日本文学
ISBN 9784909910196
商品コード 1036991878
NDC分類 916
基本件名 女性問題
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2023年12月3週
書評掲載誌 毎日新聞 2023/11/25、朝日新聞 2024/01/20
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1036991878

著者紹介

小山さんノートワークショップ(編者):2015 年3月から月1回ほどのペースで集まり、小山さんが遺した手書きのノートの文字起こしや、小山さんが歩いた道をノートに書かれたとおりにたどってみるフィールドワーク、路上朗読会、ノートとのかかわりを語りあう座談会などを行ってきた。野宿者、ひきこもり、非正規労働者、アーティスト、留学生、研究者など、様々なメンバーがゆるやかに入れ替わりながら継続している。

内容

「小山さん」と呼ばれた、ホームレスの女性が遺したノート。

時間の許される限り、私は私自身でありたいーー2013年に亡くなるまで公園で暮らし、膨大な文章を書きつづっていた小山さん。町を歩いて出会う物たち、喫茶店でノートを広げ書く時間、そして、頭のなかの思考や空想。満足していたわけではなくても、小山さんは生きるためにここにいた。

80冊を超えるノートからの抜粋とともに、手書きのノートを8年かけて「文字起こし」したワークショップメンバーによるそれぞれのエッセイも収録。

【小山さんのノートより】
働きに行きたくない。仕事がかみあわない。もう誰にも言えない。私は私なりに精いっぱい生きた。(…)私にとって、大事なものは皆、無価値になって押し流されていく。(1991年11月7日)

雨がやんでいたのに、またふってくる。もどろうか。もどるまい。黄色のカサが一本、公園のごみ捨て場に置いてあった。ぬれずにすんだ。ありがとう。今日の光のようだ。(2001年3月18日)

駅近くに、百円ちょうど落ちていた。うれしい。内面で叫ぶ。八十円のコーヒーで二、三時間の夜の時間を保つことができる。ありがとう。イスにすわっていると、痛みがない。ノート、音楽と共にやりきれない淋しさを忘れている。(2001年5月7〜8日)

五月二十日、夜九時過ぎ、つかれを回復して夜の森にもどる。 にぎやかな音楽に包まれ、心ゆったりと軽い食事をする。タコ、つけもの、紅のカブ、ビスケット、サラミ少々つまみながら、にぎやかな踊りをながめ、今日も終わる。夜空輝く星を見つめ、新たな意識回復に、十時過ぎまで自由な時間に遊ぶ。合計五百十六円拾う。(2001年5月20日)

ほっと一人ゆったりと歩く。のどがかわいた。水かコーヒーを飲みたい。こんな活気のない金曜の夜、三百円もち、何も買えない。人間の人生は生きてる方が不思議なくらいだ。(2001年6月22日)

一体、五十にもなって何をしているんだと、いい年をしてまだ本をもち、売れもしないもの書いて喫茶に通っているのか……と、怒り声が聞こえそうな時、私の体験の上、選んだ生き方だと、私の何ものかが怒る。(2001年6月14日)

私、今日フランスに行ってくるわ。夜の時間をゆっくり使いたいの……。美しい夕陽を見送り、顔が今日の夕陽のように赤く燃えている。(2001年6月27日)

2階カウンターの席にすわり、ノートと向かいあう。まるで飛行機に乗ったような空間。まだ3時過ぎだ。流れるメロディーに支えられ、フランスにいるような気持ちに意識を切り替える。(2002年2月21日)

一時間、何もかも忘れのびのびと終わるまで踊ることができた。明るいライトに照らされた足元に、一本のビンがあった。冷たい酒が二合ばかり…

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