内容
一般的な原理から出発し、その帰結を演繹的に導く形で提示することを目指した「現代の量子力学」への本格的教科書(第II巻)
本書は、現時点で「完成した」とみなされている量子力学の内容を、量子現象の個々の具体的事例から帰納的に積み上げていくのではなく、少数の妥当と思われる、できる限り一般的な原理(要請あるいは公理)から出発して、その帰結を演繹的に導く形で提示することを目指した現代の量子力学への教科書である。本書で具体的に取り扱う物理系は、量子論の本質・特徴を捉えるのに適した、なるべく単純で厳密に解けるものを可能な限り取り上げた。
I巻第9章までで量子論における独特の感触・感覚を身に付けたうえで、第10~15章では3次元空間の量子力学をさらに調べる(Schrödinger方程式の解法にのみ興味のある読者は、第7~9章(I巻)と第11~15章(II巻)のうち必要な章を選んで読むこともできる)。第15章までは純粋状態のみを扱うが、第16章以降は、混合状態の扱いを可能にする密度演算子を用いた量子力学の定式化から始め、量子もつれ(量子エンタングルメント)、量子テレポーテーション等を解説し、現在の量子情報へとつながる話題を扱う。