内容
弱さ、矛盾、そして歓び――「孤高の哲学者」イメージを塗り替える豊かな人間像を呈示
「難解」、「孤高の聖女」といったイメージが先行する哲学者・社会活動家シモーヌ・ヴェイユ(1909-43)。前著『「犠牲」の思想』における“他者を生かす情熱の強さ”から続き、犠牲を厭わないヴェイユを支えていた“歓び”に注目し、人間味あふれるその素顔を描く第二弾。傑出した数学者であった兄との知的対話の歓び、鈴木大拙を通じた禅への関心、高校教師として情熱を傾けた教えることの歓び、音楽の歓び、語られなかった恋愛、「拒食」とされた行動の根本にある思想と、その一方にあった食の歓び、また死における自己消滅の歓び等を軸に、新たなヴェイユ像を示す!