著者紹介
角幡唯介(著者):角幡唯介
1976年北海道生まれ。作家、探検家、極地旅行家。早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学中は探検部に所属。2010年に上梓した『空白の五マイル』(集英社)で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。12年『雪男は向こうからやって来た』(集英社)で新田次郎文学賞、13年『アグルーカの行方』(集英社)で講談社ノンフィクション賞、15年『探検家の日々本本』(幻冬舎)で毎日出版文化賞書評賞、18年には『極夜行』(文藝春秋)で本屋大賞2018年ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞を受賞。著書はほかに『漂流』(新潮社)、『極夜行前』(文藝春秋)、『探検家とペネロペちゃん』(幻冬舎)など多数。
内容
こうして私はワイヤーにぶらさがって村にたどり着くことができ、結果、生きのこったわけだが、ここで問題になるのは、私がワイヤーをわたりきり、いわば死の瀬戸際から脱出したときに何を思ったのかだ。
私はこんなことを考えた。
もしワイヤーではなく、川を泳いで生きのこったら、そっちのほうが話は面白くなったんじゃないか?
そしてこんなことを考えている自分にゾッとした。(本文より)
生死の瀬戸際で、もう一人の自分が囁く「もっと面白くしよう」という誘い。書くことは不純だと言いながら、それでも書き続ける冒険家・角幡唯介がたどり着いた、行為する表現者の真髄とは。
【目次】
序 論 探検って社会の役に立ちますか?
第一部 行為と表現
第一章 書くことの不純
第二章 羽生の純粋と栗城の不純
第三章 冒険芸術論
第二部 三島由紀夫の行為論
第四章 届かないものについて
第五章 世界を変えるのは認識か行為か
第六章 実在の精髄
第七章 年齢と永遠の美
あとがき あらためて書くことについて