【MeL】共生の哲学 ―誰ひとり取り残さないケアコミュニティをめざして―(世界人権問題叢書 118)
朴 光駿, 村岡 潔, 若尾 典子, 武内 一, 鈴木 勉 著
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内容
目次
序文[村岡潔] 序章 共生ならざるものから考える共生[朴光駿] はじめに 1.共生ならざるもの 人種という神話 人間を排除するということ 2.人種差別――近代ヨーロッパの発明品 不寛容はすなわち社会の衰退 偽りの科学を動員した人間差別 人種主義の被害者としてのアジアとアジアの中の差別 3.人種主義者とその反対者 人類の分類:人種主義パラダイムの基礎 人種主義の主唱者:ヒュームとカント 人種主義への科学的反論:ボアス 4.共生の人間観と自立神話 共生の人間観:相互依存の存在 共生と自立神話 5.共生の概念定義のための3つの基準 共生の概念を具体化するための基準 基準①:人間を対象とすること 基準②:行動・態度の変化を伴うこと 基準③:すべてのメンバーに態度の変化を求めること 第1章 共生行動としてのケアとケアラーサポート[朴光駿] はじめに 1.ケアの用例 2.ケアの本質と概念定義 クーラ説話が示唆するもの ケアの概念定義 ケアの質に関わる2つの現実的特徴 3.ケア労働の4つの特性 対面的実践行為 「過剰負担」の際に問題となる 関係性と相互性 感情労働 4.ケアラーとしての女性 女性劣性観と道徳規範の公式化:欧米と日本 「もう1つの声」 ケア民主主義の論議 ケアラーへの支援 「ケアコミュニティ」という共生の理念――むすびに代えて 第2章 病者・障害者・不健康者との共生―ケアの人類学の視点から[村岡潔] はじめに――ケアと社会 1.ケアの3つの担い手 (1)アマチュア・セクター (2)プロフェッショナル・セクター (3)セミプロフェショナル・セクター 2.ケアの授受の背景――We/They 2分法、文化的生態系、異邦人原理 (1)We/They 2分法 (2)文化的生態系 (3)病気・障害・不健康という仕分けの問題 3.共生とケアの授受の代理苦理論――ケアラーとケアリーの互換性をめぐって 犠牲者非難イデオロギーと「代理苦理論」 おわりに――《病者》のプライベート言語へのアプローチ 第3章 共生とケアをつなぐ家族を考える――憲法学からの問題提起[若尾典子] はじめに――ケアをめぐる「家族」の政治化 1.憲法24条の「家族保護」規定の欠落は、どのように受け止められたのか (1)牧野英一の「家族保護」論 (2)1956年自民党の24条改憲論 2.どのように「家族保護」政策が形成されたのか (1)『児童福祉白書』の提起 (2)『保育問題をこう考える』 3.なぜ、母子福祉法4条は「家族の自助努力」を要請するのか おわりに 第4章 さまざまな困難の中で育つ子どもたちとの共生[武内一] はじめに 1.小児科学と小児科学会 (1)小児科学の誕生 (2)日本小児科学会 2.出生前診断をめぐる倫理的論議と共生思想 (1)新出生前診断(NIPT) (2)障害をもつもの、胎児への倫理的論議 (3)共生思想の発見 3.「この子らを世の光に」とケイパビリティアプローチ (1)この子らを世の光に (2)はだかのいのち (3)国際生活機能分類(ICF)とケイパビリティアプローチ 4.医療の視点からみた子どもの貧困 (1)子どもの貧困への気づき (2)子どもの貧困をめぐる医療からの研究――初めての全国調査 (3)子どもの貧困をめぐる医療からの研究――ケイパビリティの最適化 5.新型コロナ感染症の影響――全国子育て世帯調査 (1)コロナ禍の影響――親の回答項目から (2)コロナ禍の影響――子どもの回答項目から 6.ケイパビリティの最適化の視点 (1)子どもの権利条約と子どもたちの声 (2)貧困は構造的暴力 (3)ケイパビリティの最適化をめざすアプローチ 7.子どもと共に進める研究 (1)コロナ禍の子どもたち (2)子どもの権利条約に基づく子どもの権利対話 8.当事者と医療界の協働の可能性:地球の未来 (1)細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会 (2)子どもたちこそが主体者 第5章 共生のルネサンス――障害のある人々の平等回復のために[鈴木勉] はじめに 1.原始時代の末期、人類は障害のある人たちと共生していた 2.国家の成立と障害者問題の発生 3.市民革命期の平等論――「能力にもとづく平等」論のパラドックス 4.糸賀一雄の重症心身障害児観――「この子らを世の光に」 5.現代平等思想としてのノーマライゼーション (1)反ナチズム・平和思想としてのノーマライゼーション (2)ノーマライゼーションとは何か 6.現代平等論の地平――「障害のある人の権利条約」の成立 (1)「障害者権利条約」批准の意義 (2)ノーマライゼーションとインクルージョン (3)障害者権利条約における障害がある人々の平等回復のための「3つの措置」 7.「自助・互助」を優先する「地域共生社会」論 (1)自助の前提としての公助 (2)新自由主義と新保守主義 (3)新自由主義福祉改革のトップランナーとしての介護保険制度 (4)家族扶養を優先する理由 8.共生社会の実現のために――共同作業所運動の貢献 (1)共同作業所運動の特質 (2)住民の障害者観・福祉観の転換 (3)「レディメイド」から「オーダーメイド」型福祉行政への転換を示唆 (4)「連帯・協同」組織の位置づけと「公的責任」をめぐって 第6章 高齢者との共生と高齢者ケアレジーム[朴光駿] はじめに 1.2つの高齢者観とその意味 高齢者層の特徴は多様性 高齢者の社会的地位 2つの高齢者観:アリストテレス型とプラトン型 2.老いと関わる日本文化 いわゆる儒教文化論について 『官刻孝義録』をどうみるか 高齢者労働・介護のパラダイムの形成:明治時代 3.主体的に生きる高齢者への多様なケア 高齢者ニーズの多様性 介護と遺産相続の問題 2つの事例からみる終末期高齢者の理解 事例①ブッダの臨終 事例②:諸葛孔明の臨終 4.日本の高齢者ケアレジームとケア欠乏 日本の高齢者ケアレジーム 老人貧困と介護保障負担 ケア欠乏の現状 高齢者介護パラダイムの転換は可能か――むすびに代えて 終章 ケアコミュニティをめざす――よき実践例を素材に[朴光駿] はじめに 1.ケア国家の先駆的政策事例 福祉国家からケア国家へ 1930年代におけるスウェーデン福祉国家の成立 2.実践事例①:ユダヤ人救助者のケア教育 ユダヤ人救助者の語り 救助と非救助の分かれ道:ケア教育 3.実践事例②:「自殺率のもっとも低いまち」の生活様式 「次悪の選択」としての自殺 徳島県海部町の生活様式 4.実践事例③:御手洗住民の共生的生き方 遊女との共生 共生的生き方とそのルーツ 共生はイアーゴの没落か――むすびに代えて 参考文献
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