内容
【読者対象】
データを活用するプロジェクトに関わる実務者・研究者・学生
【書籍の特徴】
本書では、データ分析や活用を行うプロジェクトを成功に導くためにプロジェクトメンバーが共通的に持っておくべき基礎知識を網羅的に取り扱うことに主眼をおいた。筆者が、大学での研究や民間企業での『データ分析ラボ』創設の実務で必要となった分野横断的な知識を一冊にまとめ、データ活用を行うために必要な一連のプロセスの実践に必要となる知識を整理した。
【各章について】
1章では、データサイエンティストを取り巻く状況とプロジェクトの関係を解説したのち、本書の対象である「データ活用型プロジェクト」を定義し、本書の目的を示す。
2章では、データ利用の観点から見たデータの分類を示したうえで、二次利用を中心としたデータを活用するプロジェクトを実施するために求められるスキルセットについて解説する。
3章では、マーケティング等の行動分析や人流分析、調査等で関連が深い個人情報保護法やデータ利用に関連する主な法令、契約等について要点をまとめる。
4章では、プロジェクトに関わるステークホルダー、プロジェクトで必要なロールを定義し、プロジェクトの枠組みやそれぞれのロールの役割を中心に解説する。
5章では、データ活用・分析の個々のフェーズでのプロジェクトの管理について、プロジェクト推進者、データラボ、データ提供者をステークホルダーとし、データラボを中心とした立場での解説を行う。
6章では、データの蓄積に必要なデータ基盤やデータ分析の手順などを含んだ「データ活用のための環境」で示したうえで、データ処理やデータクレンジング、基礎分析、探索的分析等の「データの取り込みと基礎分析の実施」、検証分析で必要となる手法や評価指標、その解釈等を含んだ「課題解決方法の提案や施策の検証」について必要な基礎知識をまとめる。
7章では、データ分析の例によって、読者の理解を助けることを目的として、「Queensland Household Travel Survey—2020-21」のデータを用いて、可視化及び可視化のためのデータ処理に必要なコードと出力結果を紹介する。
【著者からのメッセージ】
データ分析をはじめとしたデータ活用は、論理的に現状を見極め、合理的な説明・議論に基づいた判断等、経営や施策立案、実施に欠かせない要素である。一方で、プロジェクトの視点でみるとデータ分析は、プロジェクトを成功させるための一つの要素に過ぎないというのも重要な事実である。本書は、データの分析の方法論ではなく、データの活用のためのプロジェクトの手順をまとめた新しい試みである。身の回りにあるデータをどのようなタイミングで誰とどうやって用いるとご自身がかかわるプロジェクトがよりよくなるのだろうかという視点や手元のデータを使ってどのようにプロジェクト化すればよいのかとういう視点を持っている方に是非読んでいただきたい一冊です。