内容
【読者対象】
本書は東北大学大学院環境科学研究科においてリカレント講義として行ってきた内容に加え、物理探査学会・物理探査セミナー、IEEE International Geoscience and Remote Sensing Societyでのチュートリアル・レクチャーなどでの講義ノートを基にしています。読者として電気・情報系の学部学生、工学・理学系大学院学生、また地中レーダを実際に利用する社会人を想定していますが、より広く電波工学に興味のある方や、応用分野に関係する方にもお勧めします。
【書籍の特徴】
地中レーダは、地下埋設物の検知、舗装道路の保全、遺跡調査、地質調査、地雷検知と幅広い分野で応用が進んでいる地下計測技術です。本書では電波工学について基礎的な説明は他に譲り、地中レーダに特有な技術を中心に解説しています。遺跡調査、土木・地質調査を目的とする読者には、やや難解な箇所があるかもしれませんが、電波工学の本質を捉える道筋を見つける手助けと思っていただきたいたいと願っています。
【著者からのメッセージ】
著者は、環境計測、遺跡探査、埋設物検知などの分野で地中レーダ技術の開発に携わってきました。わが国では社会インフラの保全管理の重要性が強く謳われるようになり、地中レーダは埋設物の監視を非開削で行う方法として注目を集めています。地中レーダはスイッチを入れてレーダ装置を動かすだけで、レーダ画像がディスプレイに表示され、誰でも簡単に使えます。しかし多くのユーザーは、思ったようにデータがとれない、期待した物体が検知できないなどの問題に直面します。これらを解決するには、電波の物理的な性質、媒質と電波の相互作用、レーダ計測装置と信号特性などの理解が唯一の方法です。本書はそうした電波工学的なアプローチを初学者にも理解していただきたいと思いながら執筆しました。