内容
「朝鮮人が暴動を起こした、井戸に毒を投げ込んだ……」。関東大震災の発生直後、各地で飛び交ったデマによって多くの朝鮮人が命を奪われた。非常時に一気に噴き上がる差別と偏見。東京で、神奈川で、千葉で、埼玉で、悲惨な事件はいかなるメカニズムで起きたか。虐殺の「埋もれた歴史」は誰によってどのように掘り起こされてきたか。100年余りが経過した現在、何が変わり、何が変わらないのか。歴史的事実を葬ろうとする者たち、人災を天災の中に閉じ込めようとする政治家、差別行為にお墨付きを与える行政……。差別やヘイトクライムの問題を長年追ってきたジャーナリストが100年余り前と現在を往還し、虐殺事件が及ぼし続ける様々な風景を描く。