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映画館に鳴り響いた音~戦前東京の映画館と音文化の近代~
柴田 康太郎
著
発行年月 |
2024年07月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
716p,52p |
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大きさ |
22cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/芸術/映像 |
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ISBN |
9784393930496 |
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商品コード |
1038371337 |
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NDC分類 |
778.2 |
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本の性格 |
学術書 |
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新刊案内掲載月 |
2024年08月3週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1038371337 |
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著者紹介
柴田 康太郎(著者):1985年神奈川県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。2017年より早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点研究助手、2020年より次席研究員。同拠点で共同研究事業の運営とともに、歴史的な資料をふまえたサイレント映画の再現上映の試みを進める。2022年より日本学術振興会特別研究員PD。現在、早稲田大学総合人文科学研究センター次席研究員およびカリフォルニア大学ロサンゼルス校柳井イニシアティブ訪問博士研究員。共著に『新派 SHIMPA:アヴァンギャルド演劇の水脈』(後藤隆基との共著、早稲田大学演劇博物館、2021年)、『声と音楽の映画史』(白井史人との共著、森話社、近刊)。論文に、本書に関わるもののほか「作曲家・武満徹と録音技師・西崎英雄の協働:小林組の音作り」(小笠原清・梶原弘子編『映画監督小林正樹』岩波書店、2016年)など。
内容
かつてスクリーンを取り巻いていた、多彩な音のありようを拾い集めるかつてない試み!
映画館ではスクリーンの沈黙を覆い隠すように、サイレント時代から現代にいたるまでさまざまな音響が響き続けてきた。「サイレント映画」の時代にはサイレント映像に弁士や楽隊が実演で音響実践を行なっていたが、その後のサウンド映画の時代にはサイレント映像に録音で音響を流すようになった。しかしスクリーンの前に聞こえてくる音響の種類が変わったということだけではない。映像そのものも変化するなかで、映像がともなう音響も、映像と音響の関係性も変化してきたのである。
サイレント映画の時代、日本の映画館では弁士(あるいは説明者、解説者)と呼ばれた語り手が台詞や解説を語り、音楽家たちが映画の伴奏音楽を生演奏していた。この音楽家たちは映画の上映中だけでなく、上映の合間に余興演奏を行なう場合もあった。当時の映画館は洋楽受容の拠点として、西洋音楽が鳴り響いたことはよく知られているが、それだけではなく、囃子鳴物、長唄、琵琶唄、浪花節、義太夫節、新内節、さらには西洋音楽と日本音楽が折衷された和洋合奏という合奏形式も人気を博していた。しかし、現代の日本の映画やドラマで日本音楽が出てくることはきわめて稀である。むしろオーケストラが流れている方が耳馴染みがあるような気さえする。それほど西洋音楽的な音楽語法が現代の映画体験にとって標準になっている。
本書では、サイレント時代からトーキー初期の日本の映画館でスクリーンを前にどのような音が鳴り響いたのかを問い、それが歴史のなかでどのような音文化を織りなしていたかを明らかにしようとする試みである。具体的には戦前の東京の事例を手がかりに、日本の映画館における音文化の歴史を多角的に明らかにする。
残された言説や限られた資料をつぶさに掘り起こし、日本映画と外国映画、弁士と楽士、邦楽と洋楽、実演とレコードなど、様々な事象が入り交じって豊穣な文化を作り出していた実態を描き出した力作。