著者紹介
ジョセフ・オコーナー(著者):ジョセフ・オコーナー
1963年、アイルランドの首都ダブリン生まれ。ユニヴァーシティ・カレッジ・ダブリンでアイルランドにおける英語文学を専攻して修士号を取得後、イングランドのリーズ・メトロポリタン大学で映画脚本創作を学び修士号を取る。『アシッド・ハウス・ブルー』『ダブリンUSA アイリッシュ・アメリカの旅』などを発表したのち、2002年に刊行した歴史小説Star of the Seaが英語圏で100万部を売り上げる大ベストセラーになり、作家として一挙に知名度を上げた。2014年以降は、アイルランド南部のリムリック大学に設けられた〈フランク・マコート記念創作講座〉の初代教授として文学作品の創作を教えている。
栩木 伸明(翻訳):栩木伸明
1958年東京都生まれ。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士後期課程単位取得退学。アイルランド文学・文化専攻。2014年『アイルランドモノ語り』が第65回読売文学賞(随筆・紀行賞部門)を受賞。他の著作に『アイルランドのパブから 声の文化の現在』『声色つかいの詩人たち』『アイルランド紀行 ジョイスからU2まで』などが、訳書にカーソン『琥珀捕り』、イェイツ『赤毛のハンラハンと葦間の風』、トレヴァー『聖母の贈り物』、チャトウィン『黒ヶ丘の上で』などがある。
内容
【アイリッシュ・ブックアワード受賞】
この劇場にはジョナサン・ハーカーもいれば、
ミナという名の幽霊もいる
そして劇場支配人ブラム・ストーカーの
胸には妖しい吸血鬼の影が……
『吸血鬼ドラキュラ』誕生の物語
1800年代後半、のちに『吸血鬼ドラキュラ』を生み出すことになる若きブラム・ストーカーは、人気俳優であり劇場経営者でもあったヘンリー・アーヴィングに雇われ、ライシアム劇場の支配人となっていた。仕事に忙殺される慌ただしい毎日だったが、ストーカーの無意識の中で『吸血鬼ドラキュラ』の小説が形をなしていくにつれ、ドラキュラの存在が影絵の芝居(シャドウプレイ)のように現実に影を落とし始める。劇場では、ジョナサン・ハーカーという名前の男が働き、屋根裏にはミナという名の幽霊が出る……。
アイリッシュ・ブックアワード受賞。ストーカー、アーヴィング、そして一座に加わった名優エレン・テリー。個性的な三人の人生を、虚実織り交ぜたドラマティックな筆致で描く『吸血鬼ドラキュラ』誕生秘話。
■目次
第一幕 永遠の愛
第二幕 俺たちの身体から血は流れないのか?
第三幕 ブラッドフォード到着
終 章 一九一二年四月十二日金曜日
覚え書き、参考文献、および謝辞
訳注、または『ドラキュラ』への扉
ドラキュラ、シェイクスピア、古きロンドン――訳者あとがきに代えて