内容
大きな物語がなくなったあとの複雑な時代に、
新しい出会いや発見、悲しみや葛藤を経験しながら成長する子どもたち、
うつろいゆく大切なものもの。それでもなお世代を超えて受け継がれる、
かけがえのない日々を描く新たな成長小説(ジュブナイル)
いまほど世の中の仕組みが複雑ではなかった一九七〇年代。
『七夜物語』という不思議な本の世界を冒険した子どもたちがいた。鳴海さよと仄田鷹彦。七つの夜をめぐる冒険は、二人にとって大切な経験となるが、さよも仄田くんも「夜の世界」の出来事を決して思い出すことはなかった。
あれからおよそ三十年――。
さよの息子「絵」と仄田くんの娘「りら」は、両親と同じ小学校でクラスメートになっていた。二人もまた『七夜物語』の世界へと導かれるのか?
二〇一〇年の現代を舞台に、十歳から十一歳へと成長する二人の変化の兆しと、子どもたちを取りまく世界を鮮やかに捉えながら、ささやかな人の営みと、そのきらめきを届ける物語は、二〇一一年の「あの日」へと向かっていく。
著者の長編ファンタジー『七夜物語』から十二年、
次世代を生きる子どもたちの物語