内容
本書は、20世紀を代表する数学者の一人であるC. L. ジーゲルが行った天体力学の講義録をもとに生まれ、その後J. K. モーザーとの共著として改訂された名著の翻訳である。3章構成となっており、三体問題の解の解析接続と衝突解の問題が扱われ(第1章)、微分方程式の周期解を扱うためのさまざまな方法論に触れたあと(第2章)、解の安定性について議論される(第3章)。その叙述は古典的な解析手法に貫かれ、それが3章後半でのKAM理論という新たな摂動論へと発展していく。さらに翻訳版では、訳者による注釈ノート、ならびに、原著出版後の発展についての解説とそれに関する文献のリストを追加している。多くの数学者を魅了し、数学の発展の源流になってきた伝統ある天体力学の奥深さを堪能できる一冊。