内容
今日,世界は,深刻化する気候変動や生物多様性の損失といった地球規模の諸課題に直面している.
それらの問題には多様な主体が関わっており,問題が生じる要因とその影響は相互に密接に関連している.そのため,問題解決には,単一の学問領域のみならず複数の学問領域の科学知の動員と社会との連携が不可欠である.
本書は,環境・経済・社会の諸課題を俯瞰し,科学と政策を結び付け,持続可能な社会への変革を促すためにIGESが重視する「統合的アプローチ」を解説する.
前半では統合的アプローチの背景とこれを構成する7つのプロセスを詳述し,後半の第4章以降ではそれぞれ同アプローチの実践例として,持続可能な開発目標(SDGs)の取組を加速するシナジーの強化,国・自治体・アジア都市のネット・ゼロへの取組と気候にレジリエントな開発,循環型の経済社会への移行,ネイチャーポジティブ実現への取組,ビジネスと金融の有機的連携を紹介する.