内容
これは、「遠い昔」や「遠い場所」の話ではない。
なぜ、あの独裁者の台頭を許してしまったのか――。
「失敗」を繰り返さぬよう、わたしたちができること。
昨今、政治的状況や政治家の発言などがナチズムを連想させるという指摘は数多く、現在の日本はナチスが台頭していた頃のドイツに酷似していると言っても過言ではない。
ワイマル共和国という民主主義国家から、なぜナチズムが生まれたのか?
それは今の私たちにこそ突き付けられている問いだ。
本書は当時、ドイツの街頭や酒場で起きていた「暴力」に着目し、それが共和国の政治や社会を蝕んでいった過程をひもとくことで答えを探る。
ナチスの支配が、あるとき突然発生したわけではないことを、豊富な史料を駆使して明らかにする画期的な一冊。
当時の選挙結果の表や地図、関連年表なども収録!
【目次】
序章 ワイマル共和国と政治的暴力
第一章 暴力で始まった共和国――共和国前期の政治
第二章 街頭に出ていく政治
第三章 市中化する政治的暴力
第四章 頻発化する政治的暴力
第五章 日常化する政治的暴力
第六章 ワイマル共和国の終焉
終章 「ワイマル共和国」を考える
【著者プロフィール】
原田 昌博 (はらだ・まさひろ)
1970年生まれ。鳴門教育大学大学院学校教育研究科教授。
1999年、広島大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門はドイツ現代史。
著書に『ナチズムと労働者――ワイマル共和国時代のナチス経営細胞組織』(勁草書房)、『政治的暴力の共和国――ワイマル時代における街頭・酒場とナチズム』(名古屋大学出版会)など。