内容
変化の時代に頼るべきものは、時代が変わっても変わらない「物事の本質」。企業の本質と経営の全体像を体系的に理解し、会社経営者と役員は何をなすべきか、何を軸に意思決定すべきか、ドラッカー経営学をベースに考える。この本によって学べるのは、・事業経営の全体像と会社経営者/役員の基本的な役割・会社経営者/役員としての世の中の見方と未来創造の考え方・会社経営者/役員に必要な財務会計の基礎知識・経営環境の変化に際し、自社の考えを確認し、形成するための知見・会社経営者/役員だからこそ、身につけるべき資質と習慣【著者の言葉】本書の目的は、変化の時代における「会社役員の役割」を再確認し、経営者としての「考え方の軸」を整理してもらうことです。企業を取り巻く環境が変化しています。「社会課題への対応」や「新規事業の創造」といった新しい課題に、会社役員としてどう取り組めばよいのでしょうか。新しい課題ですから社内に参考になる事例などないでしょう。他社の事例をそのまま真似してもうまくいきそうにないことはすぐにわかります。なぜなら、会社の事情や置かれた状況は会社によってさまざまだからです。結局、新しい課題にどう取り組むかは、それぞれの会社の経営陣が独自に考えるしかありません。では、何を「考え方の軸」にして、これらの新しい課題に取り組めばよいのでしょうか。変化の時代にこそ頼るべきものは、時代が変わっても変わらない「物事の本質」です。時代がいかに大きく変化しようと、企業という存在を大局的に眺めてみれば、「企業は社会に存在する人間組織である」という企業の本質は何も変わっていないのです。本書の考え方のベースになっているのはドラッカー経営学です。ドラッカーは「マネジメントの父」と呼ばれ、人類史上初めてマネジメントという分野全体を体系化した人であり、大局的な視点で物事の本質を見抜くことに天賦の才があった人です。そのドラッカーは50年以上前に、社会課題への対応は企業が果たすべき重要な役割の一つであるとして、その対応についての基本的な考え方を整理してくれています。また、経営の重要な側面として、現在と未来を同時に見ていくことを挙げ、イノベーションや起業家精神による未来創造の重要性を説いています。それも、地に足の着いた未来創造の方法論を私たちに示してくれています。さらにドラッカーは、株主資本主義がもてはやされていた1990年代後半に、行き過ぎた株主資本主義や短期利益追求指向がやがて修正されることになると見通していました。ドラッカー経営学を学んできた私としては、50年の時を経て、時代がやっとドラッカーの考え方に追いついてきたというか、本当にドラッカーが必要な時代になってきたように感じています。大きな変化の時代だからこそ頼るべきものは、時代が変わっても変わらない物事の本質です。ドラッカー経営学を通して、経営の本質と会社役員の役割を再確認すると同時に、経営者としての自らの「考え方の軸」を整理し、日々の仕事に活かしていただきたいと思います。(「はじめに」より)【著者】國貞克則(くにさだ・かつのり)ボナ・ヴィータ コ