著者紹介
ジャン=バティスト・マレ(著者):ジャーナリスト。ル・モンド・ディプロマティーク、シャルリー・エブドなど多くの有力メディアに寄稿する新進気鋭のジャーナリスト。2014年刊行En Amazonie, Infiltre dans le meilleur des monde (未訳)はアマゾンの配送センターに潜入取材して内部事情を告発し、フランスでベストセラーとなった。2017年刊行『トマト缶の黒い真実』(太田出版)はグローバル経済の衝撃的な実態を暴き、イタリアで出版停止となった一方、フランスの権威あるジャーナリズム賞「アルベール・ロンドル賞」の2018年書籍部門賞を受賞。同書と並行してドキュメンタリー映画「トマト帝国」も製作し、スイスとスロヴァキアのエコ映画祭で高く評価された。2022年刊行の本書は、緻密な調査に基づいてベル・エポック時代のユートピアを魅力的に描き出し、多くのメディアから称賛を受けた。
田中 裕子(翻訳):翻訳家。訳書に『トマト缶の黒い真実』ジャン=バティスト・マレ(太田出版)、『「バカ」の研究』ジャン⁼フランソワ・マルミオン編(亜紀書房)、『シェフ』ゴーティエ・バティステッラ(東京創元社)など多数。
内容
20世紀初頭、世界が熱狂した壮大な首都構想。その真実は平和の実現か、恐怖の支配か
科学、通信技術、芸術、スポーツなどあらゆる叡智をひとつの都市に集結させる――斬新な〈世界の首都〉構想が立てられた。目的は技術革新を通した世界平和。考案者は彫刻家のヘンドリックと義姉で名家出身のオリヴィア。政治家や芸術家をはじめ計画は世界中で熱狂的に支持されたが、構想から30年を経たのち夢と潰えた。だがその裏ではムッソリーニ、ヒトラーら独裁者たちが強い関心を示していた。ユートピア思想から始まったはずが、なぜファシズムに利用されることになったのか。計画に人生を捧げた考案者の姿を通して、幻の理想都市の謎に迫る歴史ノンフィクション。