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愛と孤独のフォルクローレ~ボリビア音楽家と生の人類学~
相田 豊
著
発行年月 |
2024年12月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
352p |
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大きさ |
20cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/芸術/音楽 |
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ISBN |
9784790717959 |
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商品コード |
1039610012 |
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NDC分類 |
762.67 |
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本の性格 |
学術書 |
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新刊案内掲載月 |
2025年01月3週 |
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書評掲載誌 |
日本経済新聞 2025/02/15 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1039610012 |
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著者紹介
相田 豊(著者):1990年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。博士(学術)。専門は文化人類学、ラテンアメリカ地域研究。現在、上智大学基盤教育センター特任助教。主な論文に、「反抗、世代、強度──ボリビア・フォルクローレ音楽家の孤独とつながり」(『文化人類学』87巻3号、2022年)、「「孤独」から立ち上がる世界──存在論的個体発生論から見るボリビア・フォルクローレ音楽家の生」(『社会人類学年報』47号、2021年)など。3年半のボリビア滞在中、フェルナンド・ヒメネス氏にサンポーニャを師事。ボリビアの最大手レーベル、ディスコランディア社より自身のCDを発売するなど、ボリビア各地でフォルクローレ音楽の演奏経験を積む。また、在来音楽の分野でも、2017年にはボリビア大統領への表敬演奏を行ったほか、2019年には自身の主宰するボリビア在来音楽の保全・演奏団体「プロジェクト・タンタチャウィ」の活動に対して、ボリビア下院議員連盟よりチチカカ栄誉賞を授与されている。
内容
アンデス―アマゾンを往復し、出会った、孤独の思考
南米ボリビアで「新しい音楽」として興隆したフォルクローレ。個人の物語を愛し、他者の音を聴かず、堂々と嘘を楽しむ…。共に演奏し、木を伐り、考える中で導かれた、ポスト関係論の人類学。
――「はじめに」より
彼らの人生のテーマを一言だけ取りあげることが許されるならば、それは「孤独」ということになるだろう。音楽家たちは、若い頃、家族にも背を向け、同じフォルクローレ音楽家たち同士の中ですら馴れ合わず、「自分」の探究を続けた。……
本書は、私が三年半にわたり、ボリビアで聞き、時には自分自身もその中に入って経験した、フォルクローレ音楽家たちの物語を記述していくものである。彼らは、ボリビア全体にとっても激動だった時代を、とにかく軽やかに──あるいは軽薄とすらいえるかもしれないほどの軽さで──駆け抜けた。その軽快で、明るい「愛」と「孤独」を書くのが本書の目的である。……
引き込まれる語り口。忘れられない名ゼリフ。驚きの展開。彼らのあまりに巧みな語りっぷりを通じて、普通の人の普通の人生がどれだけ面白いのか、私は見せつけられた思いだった。こうした経験があったので、私は、少しでも彼らの語りに近いものを自分で書いてみたいと思ったのだ。だから、この本は、通読できる民族誌を目指している。……
これまでの人類学にとって、「関係」という概念は揺るぎない重要性を持ってきた。それゆえ、関係以降にあるものを考えるというのは、極めて挑戦的な問いである。本書もまた──それがあまりに大きく、無謀な問いであることは承知の上で──「孤独」の側から人類学理論を刷新していくことを目指している。
音楽家たちが、とんでもなく新しい何かを愛し、目指したのと同じように。