著者紹介
エカ・クルニアワン(著者):1975年、インドネシア西ジャワ州タシクマラヤ生まれ。2000年に初の短編集 Corat-coret di Toilet(『トイレの落書き』)、2002年に長編小説 Cantik Itu Luka(『美は傷』)を発表。二作目の長編 Lelaki Harimau(『虎男』)の英訳版は、ブッカー国際賞にノミネートされた。ワールド・リーダーズ賞、プリンス・クラウス賞などを受賞。2019年には、インドネシア教育文化省からの「文化伝統芸術匠賞」受賞者として選出されるが、同国の現政権には言論の自由や著作権や出版・書籍販売活動を守る意志がなく、出版や文筆に携わる人々の支援も行なっていないことなどを理由に、受賞を拒否した。
小説や映画脚本の執筆のほか、翻訳小説出版を中心とする出版社Moooi Pustakaを主宰。英語圏以外の文学をインドネシアに紹介するためにも尽力している。
著者ホームページ:https://ekakurniawan.com/
太田 りべか(翻訳):1964年兵庫県宝塚市生まれ。1995年よりインドネシア在住。主に日本の文芸作品のインドネシア語訳を手がけている。訳書に森鷗外『雁』、谷崎潤一郎『痴人の愛』、村上春樹『1Q84』『女のいない男たち』、よしもとばなな『キッチン』、川上未映子『ヘヴン』(いずれもインドネシア語版)など。
内容
三月のある週末の夕暮れ時、デウィ・アユは死後二十一年にして墓場からよみがえった――。
オランダ植民地時代末期にジャワ島南部の架空の港町ハリムンダに生まれた娼婦デウィ・アユとその一族を襲った悲劇。植民地統治、日本軍による占領、独立、政変と弾圧といった暴力の歴史を軸に、伝説、神話、寓話などが渦巻く奇想天外な大河小説。世界35カ国以上で刊行されたマジックリアリズム文学の傑作。
装幀:佐野裕哉 装画:菅野まり子
「インドネシアを語る小説を書きたいという衝動があった。サルマン・ラシュディが『真夜中の子供たち』でインドを語り、ギュンター・グラスが『ブリキの太鼓』でドイツを語ったように。」(著者インタビューより)
「疑いようもなく、今日のインドネシアで最も独創的で、想像力に富み、エレガントな小説家である」 ――ベネディクト・アンダーソン(政治学者、『ニュー・レフト・レビュー』誌)
「ガブリエル・ガルシア?マルケスとサルマン・ラシュディの文学が生んだ子」――『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』