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吉永進一セレクション<第1巻> 霊的近代の興隆
吉永進一
著
栗田英彦
編
発行年月 |
2024年12月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
523p |
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大きさ |
20cm |
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ジャンル |
和書/人文科学/心理学/心理学史・心理学理論 |
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ISBN |
9784336075536 |
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商品コード |
1039708159 |
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NDC分類 |
147.04 |
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本の性格 |
学術書 |
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新刊案内掲載月 |
2025年01月4週 |
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書評掲載誌 |
読売新聞 2025/02/23 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1039708159 |
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著者紹介
吉永進一(著者):吉永進一(1957-2022年)舞鶴工業高等専門学校元教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程宗教学専攻学修退学。主な業績:『日本人の身・心・霊』(復刻版編集、クレス出版、2004年)、『催眠術の黎明』(復刻版編集、クレス出版、2006年)、Religion and Psychotherapy in Modern Japan, (Routledge Contemporary Japan Series, 54) (Routledge, 2014, 共編)、『ブッダの変貌』(共編、法藏館、2014年)、『近現代日本の民間精神療法』(共編、国書刊行会、2019年)、『日本仏教と西洋世界』(共編、法藏館、2020年)、『神智学と仏教』(法藏館、2021年)、『術と行の近代』(復刻版共編、クレス出版、2021年)、『神智学とアジア』(共編、青弓社、2022年)、『増補改訂 近代仏教スタディーズ』(法藏館、2023年)。
栗田英彦(編者):栗田英彦1978年生まれ。佛教大学、愛知学院大学等非常勤講師。東北大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。主な業績:『近現代日本の民間精神療法』(共編、国書刊行会、2019年)、『術と行の近代』(復刻版共編、クレス出版、2021年)、『「日本心霊学会」研究』(編著、人文書院、2022年)、『コンスピリチュアリティ入門』(共著、創元社、2023年)。
内容
日本の精神療法の流行は、グローバル化の一端であった。欧米の思想界に渦巻く〈精妙な流体〉が太平洋を渡って日本に流れ込み、呪術の近代化が始まる。宗教学の〈余白〉を彩る研究の精華!
本巻には、欧米の不可秤量流体概念、民間精神療法、知識人宗教とカルト的場に関する論文を収める。
第1部では、欧米の不可秤量流体概念の歴史とその日本での受容を描く。
第1章では、デカルトの動物精気論とその周辺、18世紀の電磁気学と動物磁気説、そして19世紀アメリカの生気論的な電気概念の歴史と広がりを示す。
第2章では、メスメリストたちを物質と精神との関係を軸に検討し、心霊研究家マイヤーズの宇宙観との近親性について論じる。
第3章では、欧米のオカルト思想を概観し、それをよく把握し期待をかけていた同時代の日本の、呼吸法という身体論とその背後にある思想の変化を追う。
第2部では民間精神療法の諸相を俯瞰。
第4章では、欧米で熱狂を巻き起こしたスピリチュアリズムがどのように日本に入りブームを巻き起こしたかを、催眠術や療法家の動向を交えながら粗描。
第5章では、原坦山の技法と思想を概観し後継者たちが心理療法化していった過程を確認し、彼らの自己観を比較考察する。
第6章では、民間精神療法史全体を見通すため、代表的な治療家における「精神」「心霊」の意味合いを整理。ジョン・ブーヴィー・ドッズの思想を紹介し、日本的な一元論的宇宙観を代表する黒岩周六『天人論』を検討。次に療法が信から行へと展開する中での「精神」観の変容を追い、憑依的治療行為と区別される日本の精神療法に共通する特徴を論じる。
第7章では、精神療法の略史と技法をまとめ、大いなる存在と、それと人間とをつなぐ疑似物理的生命力や、施術者と患者との感応理論を検討し、最後に憑依から宇宙的関係性へと説明原理が変化した例を見て、精神療法思想を俯瞰する見通しをつける。
第3部では、民間精神療法史上もっとも影響力を持った田中守平の太霊道を取り上げる。
第8章では、田中守平の生涯、太霊道の特徴である精神療法・宗教性・政治性、思想の根幹をなす「太霊」「霊子」を検討、太霊道思想の源泉を考察。
第9章では、桑原俊郎の「精神」を源泉とする明治末までの初期精神療法の展開を辿り、太霊道の特異性を示すべく民間精神療法略史を述べ、精神療法興隆の時代を作った太霊道と、太霊道後の精神療法の変容を端的に表し、かつ精神療法家の経済事情について詳しい資料を残した桑田欣児とを取り上げ、精神療法から療術というカテゴリーの変容を描く。
第4部は宗教知識人とカルト的場がテーマ。
第10章では、大川周明とインドと西洋を結ぶ鍵となるリシャール夫妻に注目し、知識人宗教とカルト的場のあり様の一端を探る。
第11章では、大正期の大本教に焦点をあて、王仁三郎の皇道主義的神道思想、および飯森正芳や浅野和三郎などの宗教遍歴者たちを紹介することで、大本教の求道者を引き付けた側面を描き出す。