内容
3年毎の改訂で、産科婦人科領域の最新情報と治療方針を実臨床に即してコンパクトに解説.巻頭トピックスでは,「産科DIC基準(2024年改訂版)」「HPVワクチンの最新の動向」「不妊治療と保険診療の関係」など,注目の7テーマを厳選しレビュー.各論では診断・検査の要点を解説し、フローチャートによる治療方針と具体的な処方例を記載.豊富なコラムも掲載され、日常診療のアップデートに欠かせない一冊.
【巻頭トピックス】
1 産科DIC 基準(2024 年改訂版)
2 経腹的子宮頸管縫縮術
3 婦人科ロボット手術の新展開と現状
4 婦人科がんにおける免疫チェックポイント阻害薬
5 HPV ワクチンの最新の動向
6 不妊治療と保険診療の関係
7 帝王切開瘢痕症候群:新基準の帝王切開子宮瘢痕症と治療
【序文】 *抜粋・改編
本書は3年毎に産科婦人科診療,すなわち周産期,生殖,腫瘍,女性医学それぞれの領域に関する最新の情報を読者の皆様にお届けすることを目的としています.発行のたびに項目立てを刷新し,ほぼすべての執筆者を変更するかたちでよりアップデートした内容を詰め込んでいます.ご存知のとおり,日本産科婦人科学会と関連学会より多数の「ガイドライン」や「産婦人科研修の必修知識」「マニュアル」等が刊行されています.多くの産科婦人科医がこれらの書籍を日常診療のバイブルとして活用されていると思います.一方,産科婦人科学は時代と共に学問の幅が広がり細分化し,より複雑化し,その結果,書籍も一冊に集約できず細分化されているのが現状です.
日々の臨床の現場では,より実践的で具体的,かつエビデンスに基づいた疾患治療に特化したかたちでまとめられた書籍が求められています.本書では学会刊行の最新のガイドラインに沿いつつ,病因・病態への言及は最小限にとどめ,具体的な検査法や治療法について記載することに重点を置きました.また,冒頭のトピックスでは,各領域の最近の治療に関する話題を抽出し,それぞれの話題に造詣の深い専門家に情報を提示いただきました.
診療内容は,進化するとともに変化し続けています.生殖医療の領域では,不妊治療が保険診療となってから2年が経過しました.新規ゴナドトロピン製剤も使用可能となっています.出生前遺伝的検査の施行も拡大されています.周産期医療では,たとえばRS ウイルスワクチンを新生児に投与する方法から母体投与による予防へとその方向性が変化しています.また,新生児のB群溶連菌による重症感染症予防策として,ワクチンを母体に投与する戦略に変更される方向性も示されつつあります.腫瘍領域では,難治性あるいは再発婦人科がんに対する分子標的薬のオプションが増えており,日常診療に役立つ最新の実践マニュアルが求められています.
本書では産科婦人科疾患の必須項目を1冊に集約しています.本書を臨床の現場でお役立ていただければ編集者にとっても幸せです.
編集者一同