内容
好評書『関節リウマチ治療実践バイブル』の膠原病診療版が登場! 本書では,多様な膠原病のメカニズムから,診断の進め方,各種治療薬の特徴・使⽤時の注意点までを整理したほか,各種膠原病に関して病態別に診断から治療・管理までの診療の実践を詳述.臨床写真を集めた充実の巻頭カラー口絵も収載.複雑でハードルが高いと思われがちな膠原病診療に携わる医師必携の⼀冊.
【序文】
本書は,姉妹書である『関節リウマチ治療実践バイブル(改訂第2 版)』(2022 年5月刊行)における,“日常診療に直接役立つことを念頭に置き,病態に加えて具体的な治療の実践法を解説する”という理念を膠原病全体に反映する形で,企画が開始された.
膠原病の診療は,多種多様な症状の問診,全身の診察から始まり,血液検査や画像検査の結果解釈および幅広い鑑別疾患を考慮しながら診断を行い,重症度を加味し,さらに各患者の多彩な社会的背景,医療制度といった情報を統合したうえで,治療を決定しなければならない.関節リウマチ診療における分子標的治療薬の導入・発展に牽引される形で,その他の膠原病についてもその理解が深まり,ガイドラインやリコメンデーションが次々と更新され,近年の本領域の目覚ましい進歩から治療選択肢も多岐にわたるようになっている.各々の膠原病患者に最も適切な治療を届けることが診療にあたる医師の使命であるが,本書ではそのハードルをできるだけ解消するべく,実践的な記載を意識した.疾患や治療の複雑さから,ともすれば患者のみならず医療者の悩みも深くなりうる本領域の診療において,本書は重要な役割を持つものと考えている.
各項の執筆は,本領域の最前線で診療にあたっておられる全国の専門家の先生方に依頼させていただいた.本書はその集大成として,初学者から専門医にまで役立ち,読み応えのある出来映えとなったと自負している.本書の編集は,それ自体が学びも多く,相当にやりがいのある作業であったが,診療や研究,教育に携わられお忙しいなかで,多大なご理解・ご協力をいただいた執筆者の先生方に心より感謝を申し上げたい.また,本企画を立案し,各種作業をご調整いただいた南江堂編集部の皆様にこの場をお借りして深謝したい.
最後に,本書が膠原病の診療に携わる医療者の皆様の手に取られ,一人でも多くの患者の診療向上に寄与することを願っている.
2025年1月