内容
数学が工学にとってきわめて有用な基幹知識であることを強く意識し、その中でもっとも基本となる微積分と線形代数を2部構成としてまとめた。第1部では、大学で初めて学ぶ多変数関数の微分(偏微分)と積分(重積分)をメインに構成し、著者らの教育経験から躓きがちな事項についてできるだけわかりやすい説明を試みるとともに、豊富な例題を用意し、解答も計算過程まで丁寧に記した。単なる計算テクニックとして理解する学生が陥りやすい誤解も挙げながら、理解のための勘所も押さえた。第2部では教養の広義で扱われる線形代数学の基礎知識の確認に基づき、線形変換に焦点を合わせて、その働きをさまざまな見方でとらえることによって得られる表現を与えた。固有値問題の成果が微分方程式、関数解析、数値解析、最適化法などの理解に必要となること、また線形構造に着目した理論を習得しているとそれらを見通しよく理解するために必須な事項である。