内容
"結核・非結核性抗酸菌症診療”にまつわる疑問・質問に対して専門家が丁寧で分かりやすく回答・解説した,日本結核・非結核性抗酸菌症学会編集書籍の改訂版.昨今のNTM症の増加を背景としてNTMに関する疑問を大幅に追加・充実させた.興味のある疑問・質問から読み進められる構成で,診療に直結する実践的な知識が身につく.Q&A形式と豊富な図表,平易な解説文で,医師だけでなく医療スタッフにもおすすめの一冊.
【「改訂第2版」序文】
日本における結核の罹患率は10を切り,低蔓延国の水準を達成しています.この成果は喜ばしい一方で,結核の診療および研究に従事する人材が減少しつつある現状も見過ごせません.いまだに結核は新型コロナウイルス感染症と比較しても致命率が高く,いまだ解決すべき課題が多い重要な疾患です.
また,非結核性抗酸菌症(NTM症)は近年注目を集めている疾患ですが,その診断法や治療法は十分に確立されておらず,多くの課題が残されています.さらに,これらの疾患は生物学的製剤やJAK阻害薬など免疫抑制薬の使用に影響を与えることから,現代医療においてますます重要な位置づけとなっています.
本書「結核・非結核性抗酸菌症診療Q&A(改訂第2版)」は,第一線で診療に携わる医療従事者から寄せられた疑問や,既存のガイドラインでは十分にカバーされていない問題点を取り上げ,それらに対する回答を専門家が最新のエビデンスと臨床経験をもとに提供しています.
本書が日々の診療現場で役立つことを願うとともに,若い医療従事者がこれらの疾患に興味を持ち,診療や研究に積極的に参画していただけることを心から期待しています.結核および非結核性抗酸菌症は未解明な部分が多く残された分野であり,新たな診断法や治療法の開発につながる契機となることを願っています.
2025年4月
責任編集者
松本 智成