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薬物戦争の終焉~自律した大人のための薬物論~
カール・L・ハート
著
片山 宗紀
翻訳
松本 俊彦
監修
発行年月 |
2025年05月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
352p |
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大きさ |
20cm |
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ジャンル |
和書/生命科学、医学、農学/社会医学/公衆衛生学一般 |
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ISBN |
9784622097747 |
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商品コード |
1040230374 |
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NDC分類 |
498.12 |
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本の性格 |
学術書 |
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新刊案内掲載月 |
2025年06月2週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1040230374 |
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著者紹介
カール・L・ハート(著者):(Carl L. Hart)1966-。コロンビア大学心理学部・精神医学部教授。ニューヨーク州立精神医学研究所研究員。神経精神薬理学の分野で数多くの科学論文、一般向けの論考を発表している。著書High Price: A Neuroscientist's Journey of Self-Discovery That Challenges Everything You Know About Drugs and Society(Penguin Press 2013;『ドラッグと分断社会アメリカ――神経科学者が語る「依存」の構造』早川書房 2017)は2014年PEN/E.O.ウィルソン文芸科学賞を受賞。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
片山 宗紀(翻訳):(かたやま・むねのり)1987年生まれ。公認心理師・臨床心理士。ハームリダクション・サイコセラピスト。博士(医学)。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部研究員。2015年鹿児島大学大学院臨床心理学研究科修了。2024年に薬物使用に対するスティグマの研究で学位取得。現在、アジア初のオンラインによる薬物使用状況に関する国際研究を担当。著書『催眠心理面接法』(共著、金剛出版 2020)『講座精神疾患の臨床 8 物質使用症又は嗜癖行動症群 性別不合』(共著、中山書店 2023)。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
松本 俊彦(監修):(まつもと・としひこ)1967年生まれ。精神科医。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部長。1993年佐賀医科大学卒。横浜市立大学医学部附属病院精神科、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部、同研究所自殺予防総合対策センターなどを経て、2015年より現職。著書『薬物依存症』(ちくま新書 2018)『誰がために医師はいる』(みすず書房 2021、第70回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)『酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話』(共著、太田出版 2024)『身近な薬物のはなし』(岩波書店 2025)他多数。訳書 ターナー『自傷からの回復』(監修、みすず書房 2009)フィッシャー『依存症と人類』(監訳、みすず書房 2023)他多数。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
内容
2022年10月、米国のバイデン大統領はそれまでの大麻規制政策の誤りを認め、政策の抜本的改革を表明した。1971年にニクソン大統領が薬物規制の取り組みをして「薬物戦争」と呼んでから半世紀、米国の薬物政策は転換期を迎えている。
コロンビア大学で依存症を中心とした研究に従事する著者が本書で主張する政策は、自律した大人の薬物の娯楽的使用を合法化すること、薬物の正しい知識を政府が市民に提供することだ。著者は自身の使用経験も赤裸々に語りながら、薬物の本当の効果、健康被害を防ぐ安全な使用法、薬物の娯楽的使用のメリットを丹念に説明していく。
そして、健康被害だけでなく、薬物戦争にはもうひとつ深刻な問題がある。違法薬物の使用経験率に人種間の偏りはないにもかかわらず、逮捕され、投獄される人々は黒人や有色人種が圧倒的に多いのだ。彼らはきまって貧困地域に暮らし、逮捕や服役によってさらなる社会的弱者へと追いやられる。米国の薬物政策の歴史は、こうした人種差別や制度的暴力を、国家ぐるみで黙認してきた悲劇の歴史なのだ。
なぜ、かくも差別的な厳罰主義が横行してきたのか――黒人であり、ヘロインユーザーである神経科学者が、実体験も交えてその構造的な問題を多角的に解き明かし、違法薬物をめぐる神話を解体する。