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「お静かに!」の誕生~近代日本美術の鑑賞と批評~

今村 信隆  著

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価格 \2,970(税込)         

発行年月 2025年07月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 449p,6p
大きさ 19cm
ジャンル 和書/人文科学/芸術/美術理論・美術史
ISBN 9784867660935
商品コード 1041042144
NDC分類 706.9
基本件名 美術展覧会-歴史
本の性格 学術書/学生用
新刊案内掲載月 2025年09月2週
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1041042144

著者紹介

今村 信隆(著者):北海道大学大学院文学研究院准教授。放送大学客員准教授。
1977年、北海道生まれ。北海道大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。民間のバス会社で働いた後、札幌芸術の森美術館に勤務。その後、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)専任講師、同准教授、甲南女子大学准教授等を経て、現職。北海道大学プラス・ミュージアム・プログラム代表(2022~2024年度)。
単著に、『一七世紀フランスの絵画理論と絵画談義』(北海道大学出版会、2021年)、『「お静かに!」の文化史 ミュージアムの声と沈黙をめぐって』(文学通信、2024年)、編著に『博物館の歴史・理論・実践1~3』(藝術学舎、2017~2018年)、今村信隆監修『文学館を旅する』(イカロス出版、2025年)、共編著に今村信隆・佐々木亨編『学芸員がミュージアムを変える! 公共文化施設の地域力』(水曜社、2021年)、佐々木亨・今村信隆編『改訂新版 博物館経営論』(放送大学、2023年)、共著に『開講!木彫り熊概論 歴史と文化を旅する』(文学通信、2024年)などがある。

内容

果たして、人々の声はどこへ行ったのだろうか。
天皇皇后、エリート官僚、田舎客、赤門天狗、鷗外、白樺派……「沈黙」と「語らい」は歴史のなかでもせめぎ合う。

芸術と出会う場所、美術館。
「お静かに!」が生まれる空間で、
鑑賞と批評の歴史を〈声〉や〈語らい〉から考える。

書かれることばと比べるとき、声を伴って話されることばは、いかにも不安定で、はかなく、頼りない。近代的な鑑賞と批評はそれぞれ、声と語らいを外側へと追いやることで、自らの輪郭を定めていったのではないか。

江戸から明治へと移り行く時期の「見世物」と「書画会・書画展会」の様子から、人々のあいだに線を引く近代的な博覧会、明治の演説文化に対する批評、雑誌『白樺』とその同人たちが求めた美術館の理想など、今日の鑑賞と批評の空間を再考する歴史的な事柄を取り上げ考える。明治期以降に次第に整えられていく鑑賞空間、批評空間はどのようなものだったのか。それは現在とどうつながっているのだろうか。

録音・録画が一般的になる以前の声や語らいを歴史的に問い直すことは簡単ではないが、歴史のなかのいくつかのポイントに的を絞り、エピソードを拾い集めるように解きほぐしていく。

〈沈黙〉と〈静けさ〉と、〈声〉と〈語らい〉。どちらが、より好ましいのか。あるいは、どちらがより「正しい」のか…ときに問われる現代のミュージアム。

いま、私たちの空間と声のあり方を見つめるために。

美術館だけではなく、図書館、劇場、コンサートホールなど、公共性のはざまで揺れながら考える人に。ぜひお読みいただきたい本です。「お静かに!」と言わざるを得ない環境に関わるすべての方に。

【「鑑賞の歴史」と「批評の歴史」という二つの課題は、声や語らいを介して密接に関連している。あるいは、踵を接している、と言ってもよい。というのも、近代的な鑑賞と批評はそれぞれ、声と、声を伴う口頭での語らいとを外側へと追いやることで、自らの輪郭を定めていったと考えられるからである。一方において声や語らいは、鑑賞の際の態度やふるまいには不要なものとみなされ、禁止されたり、監視されたり、囲い込まれたりしてきた。と同時に、他方で声や語らいは、美術作品を論じる批評の手段としても、二義的なものとみなされ、さほど重視されないようになっていった、と言ってよいだろう。】…………「はじめに」より

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