内容
薬物の溶解性,膜透過性,粉体特性,分散性,安定性など,医薬品の有効性や安全性に大きく影響する物理化学的特性について解説した入門書.本書は,豊富な図表とわかりやすい文章が1対1対応しているため,図表で視覚的に理解を深め,各章末にまとめと国家試験既出問題を掲載することで,学んだ知識の定着を促します.Clinical applicationを通じて,物理薬剤学の臨床的なつながりも学べる教科書です.
【主な内容】
1章 薬剤学総論
A.薬剤学と薬学教育モデル・コア・カリキュラム
B.医薬品
C.日本薬局方,製剤総則の剤形と定義
2章 粒子と粉体
Ⅰ.粒子の性質
A.粒子径の測定
B.平均粒子径と粒度分布
Ⅱ.粉体の性質
A.充塡性
B.粉体の付着・凝集性と流動性
C.粉体のぬれ
D.粉体の吸湿性
E.共融混合物
F.粉体の混合性
◆Clinical application
・粒子径と吸入粉末剤(DPI)
・粒度分布と混合性:2 度まきについて
・相対湿度と一包化
3章 溶解現象と溶液
A.溶液と溶解
B.溶解度
C.溶解速度
D.膜透過速度
E.溶解補助
F.溶液の性質
◆Clinical application
・結晶多形が医薬品開発に大きく影響を及ぼした一例
・共結晶による新型コロナウイルス感染症治療薬開発
・SARS-CoV-2 による感染症治療薬:シクロデキストリンとの複合体形成
4章 分散系
A.界面の性質
B.界面活性剤の構造と分類
C.界面活性剤溶液の性質と作用
D.代表的な分散系
◆Clinical application
・リピッドマイクロスフェア
・エマルション製剤を利用した脂溶性薬物の吸収挙動改善
・遺伝子改変タンパク質を利用した溶解制御型持続製剤(各種インスリン製剤)
・ドキシル®,アムビソーム®
5章 レオロジー
A.弾性および粘性
B.流動とレオグラム
C.レオロジーの測定
D.製剤のレオロジー
E.製剤用高分子
◆Clinical application
・チキソトロピーを活用した製剤
6章 薬物の安定性
A.反応速度論
B.医薬品の安定性に影響する因子
C.医薬品の安定化
◆Clinical application
・安定性を考慮した注射剤の取り扱い
・災害時の医薬品供給
・製剤の安定性