内容
『循環器のトビラ』に続く,トビラシリーズ第2弾。時代に見合ったものがなかった,本領域の日本での入門書の新定番。『老年医学のトビラ』は,現在の高齢者診療の複雑な問題の象徴。多くが医学生や研修医の時期に出会うことすらなかったトビラ。本書はこのトビラを開く鍵となる「5つのM」に沿って解説する。
「5つのM」とはMobility,Mind,Medications,Multicomplexity,Matters Most…すなわち「身体機能」「認知機能・精神的側面」「薬剤」「複雑性・多疾患併存」「最も大切なこと」の5つをを軸に,高齢者診療の問題にフォーカスしていくというコンセプト。
扱うテーマは,転倒やせん妄,認知症,うつ病・不眠,薬剤の問題にはじまり,フレイル,尿失禁・便秘,さらに高齢者の「見えない」「聞こえない」「においがわからない」「食べられない」の訴えへの対応のほか,スクリーニング・予防,事前指示,ケアのゴール設定までを扱う。
読者対象に合わせ「まずはここから」「もう一歩踏み込んで」「トビラの向こう」という3段階のまとめや解説を設ける。これにより,読者の学習ステージが変わっても何度も目を通したくなる。
目の前には,常に高齢の患者がいる。研修医なら,これからどのような道を歩むとしても,本書が必ず助けになってくれる。「ごく当たり前に毎日そのトビラを開けている」「開き方などとっくにわかっている」と信じている医療者にも,高齢者医療の複雑な問題を改めて整理していくための確かな手がかりとなる。