【MeL】ここが知りたかった緩和ケア 改訂第3版
余宮きのみ 著
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内容
目次
【書評】 「不朽の名著が新たなレジェンドに!」 緩和ケアを志す者であれば,一度は目にしたことがある名著が再び改訂された.初版発行(2011年)当初は緩和ケア関連の書籍が増え始めた頃であったが,本書は類書とは一線を画していた.緩和ケアの領域で初版から十数年で2回も改訂された書籍は,ガイドラインなどを除くとまれであり,いかに多くの臨床家が本書を頼りにしていたかがよくわかる. 著者の余宮きのみ先生は20年以上にわたって緩和ケア診療に従事され,多くの後進を育成してこられた.その姿勢は常に現場主義であって,エビデンスを越えて患者のためになることを模索し続けてこられた方である.ご自身の貴重な経験をもとに,ガイドラインや類書では解決できない複雑な問題に対するオリジナルのアプローチが惜しげもなく披露されている.とくに本改訂版では,新規薬剤の情報や,切実な問題へのアプローチを盛り込むとともに,読者からの疑問にも答えている点がユニークである. 緩和ケアの領域では,適応外処方の問題に遭遇することが日常茶飯事である.そのようなときこそ,本書を手がかりにしてみてはどうであろうか.各種薬剤の特性から具体的な投与量まで,本書一冊のみで質の高い緩和ケアを提供することが可能なはずである. 本書はとにもかくにも丁寧に解説されているため,初学者は緩和ケアのゴールドスタンダードを瞬時に理解できる.また,経験を積んだ医療者にとっても,より難しい症状への実践的なヒントを得ることが可能である.随所に患者への対応の仕方が詳述されており,最終章ではコミュニケーションまで取り上げられている.本書を読んでいると,患者中心主義を貫いておられる余宮先生があたかも隣にいて,アドバイスをしてくださるような感覚を覚える.緩和ケアに興味があっても,自信がなく身近に相談できる緩和ケア医がいない諸氏にとっては,心強い味方になるはずである. 初版は,その内容の深さと解説の明快さによって,緩和ケアの領域に新風を巻き起こした.そして,本改訂版で学ぶ緩和ケアを通じて,医療者としてのあり方も同時に身につけることができる.本書がさらなるレジェンドとなることは間違いない. 拝読後,私自身も単なる実践を越えて誰かに伝えることの大切さを理解した.自らの知識や経験を言語化し,世に問うていくという尊い姿勢を余宮先生から教えられた.あらためて見直すと書名の「ここが知りたかった」というフレーズにこそ,先生の熱い思いが込められているのではないだろうか.初版発行後10年以上が経過した今でも,その熱量は少しも減衰していない. 患者,家族,同僚を大切にしたいという医療者には,ぜひとも本書の熱量を受け取っていただきたい. 臨床雑誌内科133巻2号(2024年2月号)より転載 評者●大坂 巌(社会医療法人石川記念会HITO病院緩和ケア内科 部長/岡山大学病院緩和支持医療科 講師) 【序文】 改訂第3版 序文 改訂第2版の増刷に際して内容を改めて見直していたところ,今の私の診療とは異なってきている点が随所にみられたため,改訂することにしました. 以下に,主な改訂点をまとめてみたいと思います. 一つ目は,新しい薬剤の登場に伴う変化を反映したことです.ここ数年,新たな鎮痛補助薬,悪液質治療薬,便秘治療薬,睡眠薬の登場により,緩和ケアにおける薬剤の選択方法が大きく変わってきています.新規薬剤は,既存薬では満たされないニーズに対応するものです.したがって,よりよい症状緩和ができるかどうかは,新薬をいかに活かし使いこなすかにかかっています.改訂第3版では,新規薬剤によりアップデートした臨床について新たに執筆しております. 二つ目は,私たち臨床家が毎日直面している課題について,新たな項目を設けたことです.例をあげると,激痛時の急速鎮痛,メサドンを飲めなくなったときの対応,鎮痛補助薬の選択方法,薬物療法を行ううえで心得ておきたい放射線治療の適応,見逃されやすい筋・筋膜性疼痛,単なる薬物療法を続けていては危険な骨転移を見逃さない方法と対応方法,アカシジアの治療法,アナモレリンとコルチコステロイドの選択方法,新しい便秘治療薬を含めた治療法などです.どれも科学的エビデンスは不十分,あるいは情報が限られているものですが,現場ではこうしたことが課題になります.患者さんは生きた教科書です.エビデンスのないことにも踏み込んで,患者さんから学んだことを存分に執筆しました. 三つ目は,初版から掲載している症状緩和の項目についても,少しずつ内容を変更・削除・追加したことです.たとえば,おなじみの「痛みと眠気の組み合わせで解決の糸口をつかもう」では,全国の皆さんから「眠気とは?」「眠気をうまく評価できない」といったお声をいただき,そうした疑問に答えるべく内容を変更・追加しています. 以上の3点に加えて,強調したい内容については,臨床場面をより想起しやすいように新たにイラストを描いてもらいました. こうした筆者の考えを全面的に汲んで,よりよい書籍となるよう細やかに改訂作業をご支援くださった南江堂の髙橋有紀さん,髙橋幸子さん,また表紙絵とイラストを描いてくださった柏木リエさんに心からの感謝を申し上げます. 本書の最大の特徴は,“患者さんから学んだことをもとに積み重ねてきた臨床が書かれている”ということです.本書が,今苦しんでいるがん患者さんの苦痛緩和の一助となれば,これほど嬉しいことはありません. 2023年 夏 余宮 きのみ 【目次】 Ⅰ 疼痛治療 A アセスメント 1 痛みのスケールの使いこなし法 2 痛みのスケールだけじゃない,便利なツール B 非オピオイドと鎮痛薬 3 疼痛治療では腎障害をチェック! 4 NSAIDsを使用する前に消化性潰瘍のリスクを考える 5 アセトアミノフェンを活用する C オピオイド 6 オピオイドをうまく使い分けるには 7 経口オピオイドの導入 8 オピオイド注射の導入と増量間隔 9 痛みが強いなら急速鎮痛 10 フェンタニル貼付剤投与中の患者で急に強い苦痛が出たら 11 オピオイドスイッチング:換算比は万能ではない 12 オピオイドの非経口投与への変更 13 オピオイド投与中に腎障害が悪化したとき 14 肝代謝が低下している状態でオピオイドを使用するには 15 レスキュー薬:説明が大事! 16 レスキュー薬:剤形の選択と投与量の決定 17 フェンタニル口腔粘膜吸収剤:適応患者をピックアップする 18 フェンタニル口腔粘膜吸収剤:導入する 19 フェンタニル口腔粘膜吸収剤:タイトレーションする 20 フェンタニル口腔粘膜吸収剤:継続して使いこなす 21 失敗しないメサドンの使い方 22 メサドンが飲めなくなったとき D 鎮痛補助薬 23 鎮痛補助薬を使用するタイミング 24 鎮痛補助薬の選択方法(経口剤) 25 鎮痛補助薬の選択方法(注射剤) 26 鎮痛補助薬を使用するポイント 27 どの鎮痛補助薬も無効というときのポイント E 鎮痛薬への抵抗解消 28 疼痛治療の意義を考える 29 オピオイドに抵抗があるとき Ⅱ 疼痛治療がうまくいかないとき 30 痛みと眠気の組み合わせで解決の糸口をつかもう 31 いま一度,痛みの原因を評価する:関連痛 32 いま一度,痛みの原因を評価する:筋・筋膜性疼痛 33 「痛みがとれない」という中身をアセスメントする 34 持続痛なのか突出痛なのか 35 レスキュー薬の効果判定による対処方法 36 夜間だけ痛みが増強する場合 37 新しい場所に痛みを訴えたら脊椎転移,脊髄圧迫を見逃さない 38 骨転移痛における病的骨折,麻痺のリスクをどう評価するか 39 骨転移による体動時痛への対応:薬に頼りすぎない対応 40 悪性腸腰筋症候群を見逃さない 41 ステロイドパルス療法の出番 42 どうしても痛みが和らがず,苦痛が強いときどうするか Ⅲ 痛み以外の症状の緩和 A 全身症状 43 オピオイドの副作用と思ったらすべき3つのこと 44 これで見逃さない,薬剤性錐体外路症状 45 困ったときのステロイド 46 ステロイドを開始するときの注意点 47 ステロイドの具体的な投与方法 48 食べられないことにどう対応するか:がん悪液質への対応を含めて 49 終末期の輸液・栄養管理の考え方 50 見逃してはならないオンコロジーエマージェンシー:高カルシウム血症 51 激しい苦痛のあるときの助け舟 B 消化器症状 52 悪心が緩和されないとき:原因を考え,原因治療を行う 53 悪心が緩和されないとき:症状緩和を行う 54 排便コントロールの重要性をもう一度 55 新しい便秘治療薬を活かす 56 オピオイド誘発性便秘治療薬(ナルデメジン)を使いこなす 57 オピオイド投与中の患者で悪心や下痢:実は,便秘 58 腸閉塞時の治療方針:「食べたい」を叶えるために 59 腸閉塞時の治療方針:「食べたい」を叶える薬物療法 60 必ず「舌を出してください」とお願いしよう 61 悪性腹水による腹部膨満感 C 呼吸器症状 62 呼吸困難:評価と原因治療 63 呼吸困難:症状緩和 D 睡眠障害,精神症状 64 眠気が強いとき,せん妄のときにすべきこと 65 過活動型せん妄の薬物療法 66 睡眠マネジメントは症状緩和の土台 67 注射剤による睡眠コントロール Ⅳ 鎮 静 68 鎮静の基本 69 鎮静の方法 70 持続的深い鎮静前に確認しておく事項 71 鎮静について家族へどのように説明したらよいか Ⅴ コミュニケーション 72 最短の時間で最大の効果をあげるチューニング 73 化学療法をやる・やらない:患者の選択への援助 74 コミュニケーションは質問力 75 難しい質問には逆質問 76 家族ケア 77 チーム医療の“うまくいっているつもり”が危ない!
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