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生活の豊かさをどう捉えるか~生活水準をめぐる経済学と哲学の対話~

アマルティア・セン, ジョン・ミュールバウアー, ラヴィ・カンブール, キース・ハート, バーナード・ウィリアムズ  著

ジェフリー・ホーソン  編
玉手 慎太郎, 児島 博紀  翻訳
在庫状況 お取り寄せ  お届け予定日 2週間 
価格 \3,520(税込)         
発行年月 2021年12月
出版社/提供元
晃洋書房
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 7p,211p,15p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/社会科学/経済学/経済学説・経済思想
ISBN 9784771035416
商品コード 1034080838
NDC分類 331
基本件名 経済学
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2022年01月3週
書評掲載誌 読売新聞 2022/02/06
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1034080838

著者紹介

アマルティア・セン(著者):1933年生まれ.インド西部,西ベンガル州シャンティニケタンの出身.1959年にケンブリッジ大学トリニティ・カレッジにて経済学博士号を取得.ジャダプール大学,デリー・スクール・オブ・エコノミクス,ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE),オックスフォード大学,ハーバード大学,ケンブリッジ大学の教授職を歴任.1998年にはアジア人として初のノーベル経済学賞を受賞した.2021年現在,ハーバード大学で引き続き教鞭を執っている.主な著作については本書付録を参照のこと.
ジョン・ミュールバウアー(著者):1944年生まれ.イギリス出身.ウォーリック大学,ロンドン大学バークベック・カレッジでの教職を経て,1981年より現在までオックスフォード大学ナフィールド・カレッジにて教鞭を執る.専門はマクロ経済学および応用経済学.
ラヴィ・カンブール(著者):1954 年生まれ.インド出身.オックスフォード大学をはじめとする英米の複数の大学での教職や世界銀行のチーフ・エコノミストなどを経て,1997年より現在までコーネル大学で教授職を務める.専門は開発経済学および公共経済学.
キース・ハート(著者):1943年生まれ.イギリス出身.ケンブリッジ大学など多数の大学での教職を経て,現在はロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの名誉教授.専門は経済人類学.
バーナード・ウィリアムズ(著者):1929年生まれ.イギリス出身.ケンブリッジ大学,カリフォルニア大学バークレー校などで教鞭を執った後,2003年没.専門は哲学および倫理学.
ジェフリー・ホーソン(編者):1941年生まれ.イギリス出身.長年にわたりケンブリッジ大学で教鞭を執った後,2015年没.専門は社会理論および政治理論.
玉手 慎太郎(翻訳):1986年生まれ.学習院大学法学部政治学科教授.東北大学大学院経済学研究科博士課程修了.博士(経済学).専門は公共哲学および応用倫理学.
児島 博紀(翻訳):1985年生まれ.富山大学学術研究部教育学系講師.東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学.博士(教育学).専門は教育哲学および規範倫理学.

内容

なぜケイパビリティ・アプローチが必要なのか という、その背景を明確化。
本書は、アマルティア・センが1985年に行ったタナー・レクチャーを書籍化したものであり、センの2つの講演に加え、4名の討論者からのコメント、およびセンからのリプライによって構成されている。
討論者には、経済指標の専門家(J.ミュエルバウアー)や哲学の大家(B.ウィリアムズ)が含まれ、非常に射程の広い対話を読むことができる。
アマルティア・センのレクチャーの論点についてやさしく道案内をした訳者解説、巻末付録としてアマルティア・セン邦訳書リスト付き。
【「訳者まえがき」より(一部抜粋)】

 本書はAmartya Sen, John Muellbauer, Ravi Kanbur, Keith Hart and Bernard Williams, The Standard of Living, edited by Geoffrey Hawthorn, Cambridge University Press, 1987. の全訳である。この本のもとになっているのは、人文学においてもっとも権威ある招待講義の一つとされている「タナー・レクチャー」であり、本書はアマルティア・センによる二つのレクチャーに加え、四名の討論者からのコメント、およびセンからのリプライによって構成されている。

 本書に収められているのは、センが一九八五年にケンブリッジ大学で行ったタナー・レクチャーの内容であるが、センがタナー・レクチャーを行ったのはこの時が二回目である。最初のタナー・レクチャーは「何の平等か?(Equalituy of What?)」と題され、一九七九年にスタンフォード大学で行われた。〔・・・中略・・・〕「何の平等か?」はセンの数多くの学問的貢献の中でも、一つの決定的な論文として位置付けられていると言って良いだろう。というのも、この論文においてセンの重要な理論的主張の一つであるケイパビリティ・アプローチの考え方が初めて提示されたからである。これに続き、一九八〇年代のセンはケイパビリティ・アプローチを積極的に展開・深化させていったのであり、そんな中で行われた彼の二回目のタナー・レクチャーは、ケイパビリティについての彼の研究のさらなる進展を示すものと位置付けられるだろう。ただし、「生活水準」というテーマを掲げた二回目のタナー・レクチャーは、ケイパビリティ・アプローチそのものについて論じるものではない。むしろ、なぜケイパビリティ・アプローチが必要なのかという、その背景の明確化が主題とされている。センのケイパビリティ・アプローチについて論じた論文・著作は、本人の手によるものはもちろん研究書・研究論文のレベルまですでに様々なものがあるが、ケイパビリティ・アプローチのそもそもの問題関心、およびそれに取り組む上でのセン自身の態度が明確に論じられている(そして討論者によってそれに対する疑問点も指摘されている)点に、本書の独自性があると言えよう。

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