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山よりほかに友はなし~マヌス監獄を生きたあるクルド難民の物語~

ベフルーズ・ブチャーニー, オミド・トフィギアン  著

朴 伸次, 三井 洋, 土田 千愛  翻訳
一谷 智子, 友永 雄吾  監修
テッサ・モーリス=スズキ  他
在庫状況 有り  僅少 お届け予定日 3~4日 
価格 \3,300(税込)         
発行年月 2024年02月
出版社/提供元
明石書店
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 443p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/人文科学/文学/中国文学
ISBN 9784750357126
商品コード 1038306713
NDC分類 929.936
基本件名 クルド族
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2024年04月2週
書評掲載誌 毎日新聞 2024/05/04
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1038306713

著者紹介

ベフルーズ・ブチャーニー(著者):作家、ジャーナリスト、映画監督。1983年、イランのイーラームにクルド人として生まれる。テヘランにあるタルビアット・モアレム大学とタルビアット・モダレス大学に学び、政治学の修士号を取得。クルド語雑誌Weryaの記者として活躍。2013年、イラン政府の弾圧を逃れて、ボートピープルとしてオーストラリアに庇護を求めたが、パプアニューギニアのマヌス島にある難民収容施設に強制収容される。その体験をもとに書かれた『山よりほかに友はなし』は、ヴィクトリア州首相文学賞、ニューサウスウェールズ州首相文学賞特別賞、全豪伝記文学賞など数多くの賞を受賞し、世界各国語に翻訳されている。シドニー大学のシドニー・アジア太平洋移民センター(SAPMiC)やカンタベリー大学など多くの大学や研究機関で客員研究員を務める。ペン・インターナショナルの名誉会員。『ガーディアン』に連載をもち、『サタデー』『ハフィントン・ポスト』『フィナンシャル・タイムズ』『シドニー・モーニング・ヘラルド』などに寄稿。2017年の長編映画『チャウカよ、時を伝えて』をアラシュ・カマリ・サルベスターニーと共同監督。ナザニン・サハミザデの演劇『マヌス…
オミド・トフィギアン(著者):哲学者、翻訳者、人権活動家。イランのテヘランに生まれる。後に両親とともにオーストラリアに移住。シドニー大学で哲学と宗教学の学士号を取得し、ライデン大学で哲学の博士号を取得。カイロのアメリカン大学で哲学の准教授を経て、シドニー大学とニューサウスウェールズ大学で研究員を務める。哲学を通して市民メディア、レトリック、宗教、大衆文化、トランスナショナリズム、強制移住、差別といった問題を考察している。主な著書にMyth and Philosophy in Platonic Dialogues(Palgrave Macmillan 2016)があり、ベフルーズ・ブチャーニーの協力者かつ作品の翻訳者として、多数の著書や論文を発表している。
朴 伸次(翻訳):龍谷大学嘱託研究員・非常勤講師、関西学院大学非常勤講師。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校社会学研究科博士課程修了、Ph.D。専門領域は移民・難民研究、ディアスポラ研究、マイノリティ研究、歴史社会学。
三井 洋(翻訳):オーストラリア・ソーシャルワーカー協会認定ソーシャルワーカー。オーストラリア・ヴィクトリア州メルボルン在住。メルボルンの難民庇護希望者支援センターにてボランティア・ケースワーカーの経験7年あり。並行して、現地の公的機関・非営利団体にて障害者の権利擁護と社会参加に関わる業務に現在まで通算14年間従事。
土田 千愛(翻訳):東京大学地域未来社会連携研究機構三重サテライト特任助教。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻「人間の安全保障」プログラム博士課程修了。博士(国際貢献)。専門領域は国際関係論、移民・難民研究。
一谷 智子(監修):西南学院大学外国語学部外国語学科教授。博士(文学)。専門領域はオーストラリア文学、ポストコロニアル・スタディーズ、環境文学。主な著書にPostcolonialIssues in Australian Literature(共著、Cambria Press、2010年)、『トランスパシフィック・エコクリティシズム――物語る海、響き合う言葉』(共編著、彩流社、2019年)、『オーストラリア多文化社会論――移民・難民・先住民族との共生をめざして』(共著、法律文化社、2020年)、『語られぬ他者の声を聴く――イギリス小説にみる〈平和〉を探し求める言葉たち』(共著、開文社出版、2021年)、主な訳書にケイト・グレンヴィル『闇の河』(現代企画室、2015年)、キャシー・ジェトニル=キジナー『開かれたかご――マーシャル諸島の浜辺から』(みすず書房、2023年)がある。
友永 雄吾(監修):龍谷大学国際学部准教授。総合研究大学院大学地域文化学専攻修了。博士(文学)。専門領域は社会・文化人類学、オーストラリア先住民研究。主な著書に『オーストラリア先住民の土地権と環境管理』(明石書店、2013年)、『スタディツアーの理論と実践――オーストラリア先住民との対話から学ぶフォーラム型ツアー』(明石書店、2019年)、主な論文に「オーストラリアにおける先住民族の遺骨・副葬品の返還と再埋葬」(『オーストラリア研究34号』2021年)、“Dispute over the Recognition of Indigenous Peoples in the Lawsuit Calling for the Return of the Ryukyuan Remains”(単著、International Journal of Human Rights、2024年)、訳書にブルース・パスコウ『ダーク・エミュー アボリジナル・オーストラリアの「真実」――先住民の土地管理と農耕の誕生』(明石書店、2022年)がある。
テッサ・モーリス=スズキ(他):歴史学者。オーストラリア国立大学名誉教授。オーストラリア学士院の名誉研究員。研究テーマは東アジアと近代日本。特に、歴史紛争と和解、移民、マイノリティの問題に関心がある。主な著書に『辺境から眺める――アイヌが経験する近代』(みすず書房、2000年)、『批判的想像力のために――グローバル化時代の日本』(平凡社、2013年)、『過去は死なない――メディア・記憶・歴史』(岩波書店、2014年)。近著にJapan’s Living Politics:Grassroots Action and the Crises of Democracy(Cambridge University Press、2020)、On the Frontiers of History: Rethinking East Asian Borders(ANU Press、2020)、『アイヌの権利とは何か』(共著、かもがわ出版、2020年)。2013年、アジア研究における多大な貢献が評価され福岡アジア文化賞(学術研究賞)を受賞。

内容

イラン生まれのクルド人ジャーナリストで難民となったベフルーズ・ブチャニーが、オーストラリアの悪名高いマヌス島の難民収容所に6年にわたって収容された実体験をもとに書かれた物語。本書は収容施設の監視の目を掻い潜って携帯電話のテキストメッセージとして書かれ、支援者の手によって出版された。
国家権力による恐怖と支配にさらされた人々の生を、鋭い観察眼と洞察力をもって克明につづったモノグラフでもあり、あらゆる抑圧に抗う究極の反戦文学、ポストコロニアル文学、そして収容所文学ともいえる。

目次