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ゾルゲ伝~スターリンのマスター・エージェント~(新資料が語るゾルゲ事件 2)

オーウェン・マシューズ  著

鈴木規夫, 加藤哲郎  翻訳
在庫状況 お取り寄せ  お届け予定日 10日間 
価格 \6,270(税込)         
発行年月 2023年05月
出版社/提供元
みすず書房
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 552p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/人文科学/哲学/概論・参考図書
ISBN 9784622095484
商品コード 1035990978
NDC分類 289.3
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2023年06月2週
書評掲載誌 毎日新聞 2023/07/22、読売新聞 2023/08/27、読売新聞 2023/12/24
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1035990978

著者紹介

オーウェン・マシューズ(著者):(Owen Matthews)祖父や大叔父がスターリンの粛清期を経験、また戦後冷戦期に恋愛を成就させた英国人の父とロシア人を母に、1971年ロンドンに生まれる。オックスフォード大学で近代史を学んだ後、ボスニアでジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせる。『モスクワ・タイムズ』『タイムズ』『スペクテイター』『インディペンデント』の各紙に寄稿している。1997年、『ニューズウィーク』誌のモスクワ特派員となり、第二次チェチェン紛争、アフガニスタン、イラク、東ウクライナの紛争を取材した。ロシア史に関する著者初の著書『スターリンの子供たち』(邦訳・白水社)は28か国語に翻訳され、「ガーディアン・ファースト・ブック」賞とフランスの「プリ・メディシス」の最終候補になった。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
鈴木規夫(翻訳):(すずき・のりお)1957年横浜市生まれ。愛知大学国際コミュニケーション学部教授。政治哲学・イスラーム研究。上智大学文学部仏文科卒後、中央大学大学院法学研究科(法学修士)、成蹊大学法学政治学研究科博士課程単位取得退学、論文博士(政治学)取得。シリア共和国国立アレッポ大学アラブ伝統科学歴史研究所、ロンドン大学バークベックコレッジ政治社会学科、エクサンプロヴァンス政治学院、復旦大学客員研究員、ケンブリッジ大学コーパス・クリスティ・コレッジ・ヴィジティング・フェロー等。現在NPO法人アジア・アフリカ研究所理事、南原繁研究会幹事、日本東アジア実学研究会副会長、国際儒学連合会(北京)理事など。著書に『日本人にとってイスラームとは何か』(ちくま新書)、『光の政治哲学――スフラワルディーとモダン』(国際書院)、『現代イスラーム現象』(同)、翻訳書にヘルド他(共訳)『グローバル・トランスフォーメーションズ』(中央大学出版部)など。尾崎=ゾルゲ研究会事務局長。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
加藤哲郎(翻訳):(かとう・てつろう)1947年盛岡市生まれ。一橋大学名誉教授。政治学・現代史。東京大学法学部卒、博士(法学)。英エセックス大学、米スタンフォード大学、ハーバード大学、独ベルリン・フンボルト大学客員研究員、インド・デリー大学、メキシコ大学院大学客員教授、早稲田大学客員教授などを歴任。著書に『ワイマール期ベルリンの日本人』(岩波書店)、『日本の社会主義――原爆反対・原発推進の論理』(同)、『象徴天皇制の起源――アメリカの心理戦「日本計画」』(平凡社)、『ゾルゲ事件――覆された神話』(同)、『「飽食した悪魔」の戦後――731部隊と二木秀雄「政界ジープ」』(花伝社)、『731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦』(同)、『パンデミックの政治学――「日本モデル」の失敗』(同)など。国立国会図書館所蔵『太田耐造関係文書 ゾルゲ事件史料集成』(全10巻、不二出版)の編集・解説を担当。ネット上で「加藤哲郎のネチズン・カレッジ」を主宰。尾崎=ゾルゲ研究会代表。*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

内容

スパイ小説の母国イギリス発、欧米圏でベストセラーになった稀代のスパイの伝記である。英独日露の新資料を駆使して、歴史的事実だけでなくリヒアルト・ゾルゲと彼をめぐる多くの人々の人間性にも迫る。
第一次世界大戦でドイツ軍に志願入隊、三度負傷したゾルゲは、病院のベッドの上でこの戦争の原因について考えた。除隊後、共産党に入党し、炭坑で活動しながらドイツ革命に加わり、コミンテルンからリクルートされる。
赤軍参謀本部情報本部の諜報員として上海をへて1933年東京へ。駐日ドイツ大使オットの親友のジャーナリストとして大使館内にデスクを持ち、同時に元朝日新聞記者・近衛内閣嘱託の尾崎秀実を中心にした日本人諜報網を形成。ゾルゲは日独の最重要機密を入手しては、モスクワに打電した。
機密情報を携え満州に亡命したソ連秘密警察幹部。第二次世界大戦の結末に大きく影響したノモンハン事件。ドイツのソ連侵攻の裏で、ソ連もドイツ侵攻を計画していた雷雨作戦… 本書では、ゾルゲを基点に日本・ソ連・ドイツの関係が交錯する。一方でゾルゲ諜報団は、日米戦争が不可避であるという分析を開戦の三か月前に導き出していた。
刑場に消える瞬間まで、自然で自発的にふるまうゾルゲには男も女も惹きつけられた。優秀な分析家、クールな嘘つき、大酒のみの女たらし。彼はいったい何に殉じたのだろうか? ゾルゲの成功と孤独は、各自がそれぞれの情報戦を生きる現代人にも示唆に富むだろう。

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