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専門知は、もういらないのか~無知礼賛と民主主義~

トム・ニコルズ  著

高里 ひろ  翻訳
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価格 \3,740(税込)         
発行年月 2019年07月
出版社/提供元
みすず書房
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 284p,16p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/総記/総記/百科事典・辞典・各種辞典・地図・年表・人名事典
ISBN 9784622088165
商品コード 1030533709
NDC分類 302.53
基本件名 アメリカ合衆国
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2019年08月3週
書評掲載誌 朝日新聞 2019/08/31、読売新聞 2019/11/03、日本経済新聞 2020/01/11
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1030533709

著者紹介

トム・ニコルズ(著者):ジョージタウン大学で博士号を取得。専門はロシア、核戦略、NATO問題。アメリカ海軍大学教校授(国家安全保障問題)。

内容

20世紀初頭まで、政治や知的活動への参加は一部の特権階級に限られていたが、後の社会変化で門戸は大きく開かれた。それは人びとのリテラシーを高め、新たな啓蒙の時代を招来するはずだった。ところが今、これほど多くの人が、これほど大量の知識へのアクセスをもちながら、あまり学ぼうとせず、各分野で専門家が蓄積してきた専門知を尊重しない時代を迎えている。
ゆがんだ平等意識。民主主義のはき違え。自分の願望や信念に沿う情報だけを集める「確証バイアス」。都合の悪い事実をフェイクと呼び、ネット検索に基づく主張と専門家の見識を同じ土俵に乗せる。何もかも意見の違いですますことはできない、正しいこともあれば間違ったこともあるという反論には、「非民主的なエリート主義」の烙印を押す。これでは、正しい情報に基づいた議論で合意を形成することは難しく、民主主義による政治も機能しない。
原因はインターネット、エンターテイメントと化したニュース報道、お客さま本位の大学教育。無知を恥じない態度は、トランプ大統領やブレグジットに見るように、事実ではなく「感情」に訴えるポピュリズム政治の培養土となっている。または逆に、知識をもつ専門家による支配、テクノクラシーを招く恐れもある。
本書が考察しているアメリカの状況は対岸の火事ではない。専門知を上手く活かして、よりよい市民社会をつくるための一冊。

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