ホロン革命~部分と全体のダイナミクス~ 新装版
アーサー・ケストラー 著
内容
目次
プロローグ◎新しい暦 1 ポスト・ヒロシマの課題 2 借りものの時間のなかの虚構 3 ホモ・サピエンスの四つの症状 4 ワニとウマとヒトが同居する人間の脳の矛盾 5 人間の悲劇を生む過剰な献身 6 もっとも恐るべき兵器「言語」 7 死の発見と死の拒絶 8 人間の創造性と病は動物に還元できない 第一部 システムとは何か 第1章◎ホロンがつくる開かれたシステム 1 還元主義は疲れた旅人を救わない 2 還元主義とホーリズム(全包括論)を超える第三の方法 3 〈ホロン〉が層をなす有機体のヒエラルキー 4 一般システム論の登場 5 部分と全体の二面の顔をもつホロン 6 ホロンが構成するホラーキー構造 7 ホロンはあらゆるシステムに適用できる 8 固定された規則と柔軟な戦略 9 個体発生のゲームの規則と戦略 10 進化の規則と戦略 11 意識と心の謎を解く規則と戦略 12 ヒエラルキー・システムの相補性原理〈樹枝化〉と〈網状化〉 13 経験によって強化されるアブストラクト的記憶の貯蔵法 14 情動を反映するスポットライト型記憶 15 自意識過剰なムカデの苦境 16 存在のホラーキーは両端が開いている 第2章◎エロスとタナトスを超えて 1 ホロンの統合傾向と自己主張傾向 2 人間ホロンの情動の二面性 3 物質界をつらぬく二面性 4 自己主張傾向の保守性と統合傾向の未来指向性 5 フロイトのエロスとタナトス説の限界 6 ルイス・トマスの共生進化説 第3章◎イマジネーションと情動の三次元 1 情動をいろどる三変数 2 純粋な情動を切りとることはできない 3 同情と共感の情動プロセス 第4章◎善意にみちた集団精神の恐怖 1 〈真の宗教〉の破壊性 2 利他主義が集団のエゴイズムを生む〈悪魔の弁証法〉 3 真理追究のためのおぞましい実験 4 人間はたまたま属した集団のために戦争する 5 社会的ホロンとしての人間 6 集団は情動を喚起し知性を単純にする 7 古い脳と新しい脳 第5章◎絶望の彼方に 1 救済は生物学研究所から 2 「大衆ニルヴァーナ」という幻想 3 問題は理性と和解しない情動にある 4 人間の本質を操作する可能性 5 ホモ・マニアカスからホモ・サピエンスへ 第二部 創造的精神 第6章◎ユーモアとウィット 1 創造性の深奥に通じる裏口 2 ぜいたくな反射作用、笑い 3 ユーモアの論理構造 4 情動のダイナミクス 5 思考に見捨てられた情動の解放 6 ジョークや風刺のゲームの規則 7 人間をとりまくさまざまな笑い 8 ユーモアを左右する三つの基準 9 科学・芸術・ユーモアをつなぐスペクトル 第7章◎科学における発見術 1 科学的創造性の本質 2 道化師と芸術家のはざまで 第8章◎芸術と科学の創造性 1 笑いと泣きの対照 2 神秘体験につながるAh…反応 3 創造の源はひとつしかない 4 悲劇作家、コメディアン、医者の創造活動 5 悲劇と日常性のバイソシエーション 6 無意識は創造性を手引きする 7 創造的ジャンプのための撤退 8 科学と芸術の相補性 9 科学と芸術の進化サイクル 第三部 創造的進化 第9章◎崩れゆく砦 1 ネオ・ダーウィニズムの矛盾 2 自然淘汰と適者生存の堂々めぐり 3 だれが進化のルーレットに賭けるか? 4 行動の進化の謎 5 ダーウィンのためらいとメンデルの夜明け 6 サミュエル・バトラーの嘆き 7 遺伝子の原子論のあやまち 8 遺伝子のミスプリントを修正するもの 第10章◎ラマルク再訪 1 遺伝学的原子論の滅亡 2 獲得形質の遺伝をめぐる攻防 3 覆されたセントラル・ドグマ 4 ラマルキズムの意味するもの 5 獲得形質を保護する要因 第11章◎進化における戦略と目的 1 生命界の相同現象 2 有袋類と有胎盤類の驚くべき相似 3 ゲーテの原型論の系譜 4 進化の目的を設定するのはだれか? 5 進化を推進する生命の独創力 6 サルの胎児とヒトはなぜ似ているのか? 7 科学や芸術における幼形進化 8 ヒトデからヒトにいたる再生能力 9 エントロピーとシントロピー 第四部 新しい地平 第12章◎自由意志とヒエラルキー 1 人間をロボットに変える習慣のワナ 2 精神的人間と機械的人間の相補性 3 「自分」と自分の果てしない鬼ごっこ 4 自由意志と責任感 第13章◎物質と精神の対話 1 ESPは非科学的か 2 現代物理学が描く物質のイメージ 3 量子論のパラドックス 4 確率的世界像 5 創造的アナーキーの時代 6 ブラック・ホールと超空間 7 精神化する物理学と現実化する超心理学 8 テレパシーよりも神秘的なユングの同時性(シンクロニシティ) 9 カンメラーの連続性の生物学とパウリの非因果的な物理学 10 因果性を超える宇宙観 11 無秩序から秩序への流れ 12 ESPのフィルター装置 第14章◎宇宙的作用につつまれて 1 人間の脳にひそむ潜在能力 2 崩れゆく合理主義者の幻想 3 地球愛国主義を超えて 4 高次のリアリティからの信号 訳者あとがき 参考文献 著者・訳者紹介