内容
◆百首シリーズ
名句が気軽に読める百句シリーズに夏相馬遷子が登場!
◆一人の医師として
相馬遷子と言えば「馬酔木」の高原派としか知らなかった。その遷子と同じ佐久に住むこととなり、同じ地域で医師として働くようになって俄然その俳句に興味を持ち始めた。
読み進めるうちに遷子という作家の俳句は一括りにできるほど単純ではなく、信州の自然を中心とした自然詠から社会性俳句、境涯俳句、それに著者が医師俳句と呼ぶもの、さらには闘病俳句に至るまで幅広いジャンルに亙ることが分かった。
職場俳句運動とか教師俳句などが遷子の所属する「馬酔木」でも声高に叫ばれていた。また遷子が兄事した石田波郷は「境涯俳句」を提唱し、遷子は「馬酔木」だけでなく波郷が主宰する「鶴」にも投句していた。遷子が自分の職業である医師とその業務を俳句で表現しようとしたのはごく自然の成り行きだったのである。
(解説より)