内容
現在,消化器外科領域のスタンダードな術式は鏡視下手術になりつつある。症例数は右肩上がりで,鏡視下手術の技術・機器の進歩も目覚ましい。医師には手術をトラブルなく遂行する能力が要求されるが,実際はどうしてもミスやトラブルが発生してしまう。では,ベテラン医師が手術中トラブルに遭遇したとき,「なにを考え」「どう機転を利かせて」無事に手術を成功に導くのだろうか。その疑問を解決するために編まれたのが本書である。
経験豊富なベテラン医師が「誰でも一度は経験するミス」「要注意症例」「勘違い症例」など,実際に起こったトラブル症例を挙げ,そのトラブルにどのように対処したかを丁寧に解説していくのが本書の軸である。解説は,対処方法をイメージしやすいように,多くの写真やイラストを用いて,視覚的に訴えるものとなっている。さらに,著者が独自に応用・活用しているテクニックなども「わたしの自慢のポイント」として掲載し,上級者になるためのヒントも提示している。
本書は上部消化管,肝胆膵,下部消化管まで,およそ消化器外科領域で必要なものはすべてカバーしている「消化器外科手術のトラブルシューター」である。ぜひこの1冊を読んで,事前にトラブルの芽を摘み取っていただきたい。