伊藤　元己（著者）：東京大学名誉教授、理学博士。1956年 愛知県生まれ。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科博士課程修了。東京都立大学助手、千葉大学助教授、東京大学助教授・教授などを歴任。

　現在、地球上でもっとも繁栄している植物群である被子植物へといたるまでに、植物は数々の進化的適応を獲得して多様化してきた。獲得されていった適応は、動物とは違った植物の生き方、すなわち独立栄養でおもに固着生活をするという生活戦略に深く関係している。
　本書では、おもに陸上植物を扱い、植物へいたる進化の道筋をまず概観し、次に陸上植物における進化上重要なイノベーションについて詳しく見ていく。最後に陸上植物の各群の特徴を解説する。その際に意図したのは、分子系統学の研究で明らかになった系統関係から植物の進化を解説することである。
　植物の進化はもちろん生物学全般に興味をもっている方に一読をお勧めする。