内容
本書は,微分幾何学への入門と力学・電磁気学の諸問題への活用という,理論面と応用面両方からの要請に応える教科書である。そのため,二部構成とし,工学に応用が広い内容は基本編に,微分幾何学の入門的側面は発展編にまとめられている。
基本編では,ベクトルの概念からはじめ,ベクトル値関数の微積分とその応用としてのフルネ・セレーの定理や,曲面の基本形式・曲率について解説する。次に,力学や電磁気学を理解するうえで必要となる,場の概念を導入する。さらに,線積分と面積分について解説し,グリーンの定理やガウスの定理などの積分定理を扱う。物理学への応用についても一つの章を当てて紹介する。
発展編では,3次元曲面のもつ幾何的性質を紹介する。微分形式・リーマン計量・テンソルを導入し,計量とテンソルの応用としてシュヴァルツシルトによるアインシュタインの重力場方程式の解法を解説する。