著者紹介
本井英(著者):昭和20年 埼玉県草加生まれ。
昭和37年 慶應義塾高校在学中、清崎敏郎に師事。俳句を始める。
昭和39年 慶應義塾大学入学。「慶大俳句」に入部。俳誌「玉藻」入会。星野立子に師事。
昭和40年 「笹子会」入会。
昭和49年 「玉藻研究座談会」に加入。
昭和59年 俳誌「晴居」入会。高木晴子に師事。
昭和63年 俳誌「惜春」入会。
平成11年 同人誌「珊」参加。
平成18年 35年奉職した慶應義塾志木高校を退職。逗子の自宅にて「日盛会」開催。「惜春」退会。
平成19年 俳誌「夏潮」創刊主宰。
令和元年 大磯鴫立庵二十三世庵主就任。
句集に『本井英句集』『夏潮』『八月』『開落去来』『俳句日記 二十三世』。著作に『高浜虚子』(蝸牛俳句文庫)『虚子「渡仏日記」紀行』。『本井英集』(自註現代俳句シリーズ)『虚子散文の世界へ』。
内容
◆第六句集
蜷が身をゆするたび砂ながれけり
この句集に収められている八年間は、私にとっては試練の時期でもあっ
た。今後、俳人としてどのように働くことが出来るのか。現在模索中である。
(著者)
◆自選十五句
芍薬の蕾に案の如く蟻
川の名の変はりてさらに鰻落つ
グエンさんゴさん勤労感謝の日
卒業の日の「おはよう」を交はし合ひ
吾が断ちし根ツ切虫の天寿かな
病ひには触れず日焼を褒めくれし
充電のごとく冬日に身をさらし
箱釣の箱立てかけてありにけり
稲架立てる場所をまづ刈り取りにけり
手びさしの右手が疲れあたたかし
船虫に英傑のあり凡夫あり
青鷺の踵揚ぐれば指垂るる
同乗の救急車より年の瀬を
蜷が身をゆするたび砂ながれけり
お薬師さま里へ下ろして山眠る