内容
「地政学」――人間が暮らす世界としての地理と政治を合わせて考察しようとしたこの学問は、脅威や国家中心主義といった戦争のイメージが付きまとう学問でもある。しかし、現代の地政学/政治地理学は複雑化する空間と政治の結びつきを読み解く,ローカルからグローバルまでのスケールを横断しながら考察する学問領域へと変貌しつつある。それは、「国家」のみならず、私達をとりまく現代社会について、「空間」から、「人々」から、「境界」から、「私達は何におびえ、どう乗り越えるのか」を問おうとする学問である。本書では海外の研究成果も紹介しつつ、大きく6章――私たちを取り巻くさまざまな脅威や不安に関する認識、その構図、伝統地政学、批判地政学、ボーダースタディーズ、さらに地球社会が抱えるさまざまな脅威と解決の模索――で構成。地球社会の脅威を認識し乗り越えるための「新しい地政学」の構築を目指す.