長尾　圭造 　著

著者紹介

内容

目次

はしがき Ⅰ　今、なぜ、子どものうつ病なのか 　1　最近の事情 　（1）子どもに対して抗うつ薬の処方が増えている 　（2）成人のうつ病はその発症が児童青年期にある 　（3）20歳未満の自殺増加がある 　（4）学校での感情問題の多発 　（5）子どものうつ病の頻度は、思われていたよりも多い 　（6）青年期気分変調症と成人期メンタルへルス（うつ病や不安障害）との関係 　（7）なぜ、わが国ではうつ病の認知度が低いのか 　2　最近の子どものうつ病に対する考え方 　（1）遺伝と環境 　（2）うつ病に関する臨床的課題 　（3）うつ病の診断方法 　3　子どものうつ病の発症頻度 Ⅱ　子どもの臨床から見た気分障害 　1　診断に至るまで 　（1）うつ症状のチェック 　（2）自尊感情（セルフ・エスティーム）状態の検査――自己満足感を知るためのCoopersmithの自尊感情検査 　　　1）Coopersmithの自尊感情検査とその特性 　　　2）我々の資料の検討結果――中学生を対象とした標準化について 　　　3）診察場面での使用法 　（3）うつ症状の重症度段階 　（4）グラフィング作業 　2　診断後の対応 　（1）初診時診断のときの子どもへの説明の仕方、伝え方 　　　1）診断がほぼ間違いないと思われるとき 　　　2）これまで得られた情報からでは、診断が曖昧となりやすい場合 　（2）子どものうつ状態うつ病に対する両親の理解への対応 　　　1）うつの理解に関して 　　　2）親の態度が絡むもの 　　　3）クスリ関係 　　　4）心理・社会・教育に関すること 　3　臨床の特徴 　（1）全症例に対する気分障害の占める割合 　（2）気分障害の閾値下診断とその意味 　　　1）精神医学的な診断基準から 　　　2）これまでの閾値下診断研究 　　　3）我々の学校での取り組みから 　（3）うつ病に見られる合併併存障害 　　　1）登校不能状態（不登校）と気分障害の関係 　　　2）トラウマ（PTSD症状）と抑うつの関係 　　　3）いじめに関連する気分障害 　　　4）発達障害に併存する気分障害 　　　5）性的逸脱行動と気分障害 　（4）気になる症例 　　　1）最重症うつ病例 　　　2）うつ病相時に日内変動が著明であった例 　　　3）気分変調性障害からうつ病性障害（うつ病エピソード）に至った例 　　　4）気分変調性障害から徐々に4年間で寛解に至った例 　　　5）質問紙法を用いることで、うつ病の改善過程での症状変化が理解できた例 　　　6）うつ症状の意識化：症状は多彩であっても、うつ症状を意識できないときがある。どうしても意識できない例とできるようになる例 　　　7）病的窃盗とみなされていたが、うつ病治療後は改善した例 　　　8）躁うつ混合状態が初発の小学生例 　　　9）季節周期性の双極性障害例 　　　10）幼児期より発症の双極性障害例 　　　11）ADHD（注意欠如多動性障害）とされていたが、双極性障害であった例 　　　12）激しい情動反応から人格の未熟性が疑われた双極性障害例 　　　13）双極性障害の長期経過不安定例 　　　14）幼児期発症の躁病例 Ⅲ　治療 　1　治り方、治し方の基本戦略 　2　治療時のガイダンス――悪いときの治療法、よいときの治療法、薬物の管理 　　（1）うつ状態があるときで状態が重症時のガイダンス 　　　1）症状が軽減することを伝える 　　　2）自殺、転校、試験と留年や、離職・転職、つらい友達関係、つらい家族関係などの重要な症状への対応 　　　3）薬物療法 　　　4）治療間隔 　（2）うつ状態が改善したときの治療と、寛解期、間歇期へのガイダンス 　　　1）登校、勉強、クラブ、仕事、などの作業 　　　2）安定期の治療（グラフィング作業など） 　　　3）予防薬物の選択 　　　4）治療に対する力の入れ方 　（3）薬物の管理 　3　精神療法 　（1）治療方針の立て方 　（2）通常の診察での精神療法 　（3）個別の治療法――悪夢の治療（怖くない夢の見方Lucid dream法） 　4　気分障害との付き合い方 　（1）軽うつ状態ないし軽症慢性遷延化状態の場合 　（2）軽躁の場合 　5　一次障害と二次障害の捉え方 　6　薬物療法――子どもの薬物療法の基本、基本的な進め方、薬物の選択、薬物の変更 　（1）どの障害の治療法にも当てはまる治療原則 　（2）子どもの精神科治療の特徴 　（3）薬物療法と精神療法の相互関係 　（4）子どもの薬物療法の特徴 　（5）気分障害の薬物療法 　　　1）抗うつ病薬の原理 　　　2）子どものうつ病治療薬 　　　3）治療有効性の根拠 　　　4）副作用 　　　5）有効性に影響する要因 　（6）実際の薬物療法の進め方 　　　1）薬物療法の適応と薬剤の選び方 　　　2）薬物の選択 　　　3）躁病、躁状態に対して 　（7）症例 Ⅳ　予防的取り組み 　1　はじめに 　2　学校メンタルへルス活動でできること 　（1）児童生徒への質問紙法によるアンケートの実施 　（2）事例検討会議の進め方 　（3）結果の活用法 　　　1）QU検査による結果 　　　2）Coopersmithの自尊感情検査の結果 　　　3）健康症状チェックの結果 　3　実際の担任とのやり取りの1例 　4　これからの予防対策 Ⅴ　まとめ 　1　子どものうつ病の臨床的特徴 　2　今後の子どものうつ病の行方 　附録1　ICD－10　気分（感情）障害の下位分類 　附録2　わが国で使われている主な抗うつ薬の一覧 　あとがき