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丸善のおすすめ度

精霊に捕まって倒れる~医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突~

アン・ファディマン  著

忠平美幸, 齋藤慎子  翻訳
江口重幸  他
在庫状況 お取り寄せ  お届け予定日 10日間 
価格 \4,400(税込)         
発行年月 2021年08月
出版社/提供元
みすず書房
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 11p,402p,27p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/生命科学、医学、農学/小児科学/小児科学
ISBN 9784622090267
商品コード 1033487347
NDC分類 493.937
基本件名 小児科学
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2021年09月1週
書評掲載誌 読売新聞 2021/10/24、朝日新聞 2021/12/25
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1033487347

著者紹介

アン・ファディマン(著者):作家、エッセイスト、編集者。1953年、ニューヨーク市生まれ。初の著書である本作The Spirit Catches You and You Fall Down(Farrar Straus & Giroux, 1997)で高い評価を得て、全米批評家協会賞(National Book Critics Circle Award)をノンフィクション部門で受賞(1997年)。本作はその後、米国の医学、看護学、文化人類学など幅広い分野の学生の課題図書となり、刊行から22年後の2019年にSlate誌の「この四半世紀の最も優れたノンフィクション50作」に選ばれている。編集者としては1998年よりファイベータカッパ協会発行の雑誌The American Scholarの編集長を6年半務める。ニコルソン・ベイカー、J・M・クッツェー、オリバー・サックス、ジョン・アップダイクほかの作家たちの出版に携わった。2005年、イェール大学初の終身待遇のライター・イン・レジデンスとなり、現在まで同大学を拠点に活動。ほかの著書に、Ex Libris(1998)〔相原真理子訳『本の愉しみ、書棚の悩み』草思社〕ほか。
忠平美幸(翻訳):[はしがき、1-12章を翻訳]
1962年生まれ。翻訳者。おもな訳書に、ペトロスキー『フォークの歯はなぜ四本になったか』(平凡社)、ハーツガード『世界の環境危機地帯を往く』(草思社)、オルデンバーグ『サードプレイス』(みすず書房)、ベア『戦場から生きのびて』、シェファード『遠すぎた家路 戦後ヨーロッパの難民たち』、ジョルダーノ『クロエ・ジョルダーノの刺繍』(以上、河出書房新社)、ほか多数。
齋藤慎子(翻訳):[13-19章および、その他の項を翻訳]
英日・西日翻訳者、ライター。おもな訳書に、シェリダン『世界一シンプルな増客マシーンの作り方』(実業之日本社)、ノア『トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?』(英治出版)、ローゼンブラム『最新脳科学でわかった五感の驚異』(講談社)、ケープルズ『ザ・コピーライティング』(ダイヤモンド社)、ケネディ『究極のセールスレター』(東洋経済新報社)、ほか多数。
江口重幸(他):1951年生まれ。精神医学研究所付属東京武蔵野病院に勤務。著書に『病いは物語である』(金剛出版)、『シャルコー』(勉誠出版)、『ナラティヴと医療』(共著、金剛出版)、『精神看護の基礎 精神看護学〈1〉』(医学書院)ほか。訳書(共訳)に、クラインマン『病いの語り』(誠信書房)、同『精神医学を再考する』(みすず書房)、グッド『医療・合理性・経験』(誠信書房)、ハッキング『マッド・トラベラーズ』(岩波書店)、ほか。

内容

生死がせめぎ合う医療という場における異文化へのまなざしの重さを、感性豊かに、痛切に物語る傑作ノンフィクション。
ラオスから難民としてアメリカに来たモン族の一家の子、リア・リーが、てんかんの症状でカリフォルニア州の病院に運ばれてくる。しかし幼少のリアを支える両親と病院スタッフの間には、文化の違いや言語の壁ゆえの行き違いが積もってしまう。
モン族の家族の側にも医師たちの側にも、少女を救おうとする渾身の努力があった。だが両者の認識は、ことごとく衝突していた。相互の疑心は膨れ上がり、そして──。
著者は、医師たちが「愚鈍で感情に乏しい、寡黙」と評したリアの両親やモンの人びとから生き生きとした生活と文化の語りを引き出し、モン族の視点で見た事の経緯を浮かび上がらせる。その一方で医師たちからもこまやかな聞き取りを重ね、現代的な医療文化と、それが医療従事者に課している責務や意識が、リアの経過にどう関わっていたかを丹念に掘り起こしている。
本書の随所に、異文化へのアプローチの手がかりがある。原書は1997年刊行以来、アメリカで医療、福祉、ジャーナリズム、文化人類学など幅広い分野の必読書となった。医学的分類の「疾患」とは異なる「病い」の概念も広く紹介し、ケアの認識を変えたとも評される。全米批評家協会賞受賞作。

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