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書評掲載

都筑道夫創訳ミステリ集成

ジョン・P・マーカンド, カロリン・キーン, エドガー・ライス・バローズ, 新保博久, 堀燐太郎, 平山雄一  著

都筑道夫  翻訳
小松崎茂, 武部本一郎, 司修  イラスト
在庫状況 有り  お届け予定日 3~4日 
価格 \6,160(税込)         
発行年月 2022年02月
出版社/提供元
作品社
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 476p
大きさ 22cm
ジャンル 和書/人文科学/文学/イギリス文学
ISBN 9784861828881
商品コード 1034270603
NDC分類 933.78
基本件名 小説(アメリカ)-小説集
書評掲載誌 読売新聞 2022/05/01
商品URLhttps://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1034270603

著者紹介

ジョン・P・マーカンド(著者):(John P. Marquand)1893-1960。アメリカの作家。映画化でも知られる日本人スパイ、ミスター・モトの生みの親。諷刺小説The Late George Apley (1937)でピュリッツァー賞を受賞。
カロリン・キーン(著者):(Carolyn Keene)アメリカのエドワード・ストラテマイヤー(1862-1930)が設立した小説工房のハウスネームの1つ。『古時計の秘密』(1930)に始まるナンシー・ドルー・シリーズは、初期作品の大半をミルドレッド・ベンソン(1905-2002)が執筆した。
エドガー・ライス・バローズ(著者):(Edgar Rice Burroughs)1875-1950。アメリカのSF・冒険小説作家。1912年のデビューから書きはじめた火星シリーズと並行して、ターザン・シリーズその他で絶大な人気を博した。
新保博久(著者):(しんぽ・ひろひさ)1953年、京都生まれ。ミステリ評論家。光文社文庫版〈江戸川乱歩全集〉〈都筑道夫コレクション〉などの編纂・解説にも従事した。
堀燐太郎(著者):(ほり・りんたろう)1952年、佐世保市生まれ。推理作家。2014年『ジグソー失踪パズル』刊行。収録作「ドールズ密室ハウス」が日本推理作家協会賞短編部門の候補となる。
平山雄一(著者):(ひらやま・ゆういち)1963年、東京都生まれ。歯学博士。訳書に、『マーチン・ヒューイット【完全版】』『思考機械【完全版】』(全二巻)『隅の老人【完全版】』ほか多数。
都筑道夫(翻訳):(つづき・みちお)1929-2003。東京出身。10 代から時代ものを発表していた読物雑誌の衰退に伴って海外ミステリ翻訳家に転向、『E
QMM(エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)』日本版編集長を経て、1961年『やぶにらみの時計』を刊行、推理作家となる。トリッキーな趣向を凝らした作品の一方、ユーモラスなアクション小説、捕物帳を含む本格推理、ハードボイルド、SFミステリなど多彩な作風をもつ。永く無冠でいたが晩年に日本推理作家協会賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。
小松崎茂(イラスト):(こまつざき・しげる)1915-2001。画家、イラストレーター。東京出身。精密な写実性と空想力を融合させ、『地球SOS』(1948)など絵物語や挿絵、プラモデルの箱絵で少年たちを魅了した。
武部本一郎(イラスト):(たけべ・もといちろう)1914-1980。挿絵画家。大阪出身。児童書の挿絵から東京創元社版の火星シリーズの表紙・挿絵に抜擢され、内外のSF ファンに絶賛された。画集に『火星の美女たち』など。
司修(イラスト):(つかさ・おさむ)1936年、前橋生まれ。画家、装幀家、文筆家。独学で築いた特異な画風は文学性にも彩られ、絵本、大江健三郎らの装幀も多数。小説「影について」(1993)で川端康成文学賞。

内容

いまふたたび熱い注目を集める作家・都筑道夫が手がけた、翻訳にして創作“創訳”ミステリ小説3作品を一挙復刻!

・底本の書影/口絵を収録した巻頭カラー8ページ!
・底本の挿絵60点超を完全収録!
・生前の都筑道夫と親しく交流したミステリ作家・堀燐太郎によるエッセイを収録!
・ミステリ評論家・新保博久による50枚の入念な解説を収録!
・新保博久、平山雄一による詳細な註によって原書との異同を明らかにし、“ツヅキ流翻案術”を解剖する!


 エンタテインメント作家は、亡くなってしまうと、たちまち忘れ去られて、書店からも作品が消えてしまうのが宿命だ。(…)そんな風潮にあって近年、奇跡的なほど旧作の復刊、未刊行作品の初書籍化で快進撃を遂げているのが都筑道夫である。
(…)その二作(『魔海風雲録』『クレオパトラの眼』)以上にレアだった都筑著作は、児童向け翻訳書『銀のたばこケースの謎』『象牙のお守り』『火星のくも人間』の三冊である。それぞれ出版されたのが一回こっきり、児童書すべての常として所有者には大事に扱われず、すり切れ、棄てられ、幸運にも入手したマニアは大事がって手放さないから、古書市場にも出回らない。プレミア価格を払う覚悟を決めても、商品がないのだ。なんだ子供向けか、翻訳であってオリジナルではないんだろう、と都筑ファンであっても二の次に考えるかも知れない。だがこれらは見方を変えれば、改装版・再編集本を含めて三百冊になんなんとする都筑著作のなかでも特異というだけでなく、都筑氏本来の小説作法を窺ううえで重要な作品群なのである。
 というのは、これらは翻訳といっても、横のものを縦にしただけではない。
(新保博久「解説 恐るべしツヅキ流翻案術の冴え」より)

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